アメリカのテクノロジー投資銀行界での著名な存在、マイケル・グライムス(Michael Grimes)氏が、先月モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)を離れ、アメリカ合衆国商務省(U.S. Commerce Department)での上級職に就任したことが報じられています。現在、彼が新たに設立される予定のアメリカのソブリン・ウェルス・ファンド(sovereign wealth fund)のリーダーとして指名される可能性が出てきています。これはドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領によって発表されたもので、現在詳細な議論が進行中であるとのことです。
このファンドは、海外からの輸入関税によって支えられることを目指しており、その収入源はまだ明らかにされていません。関係者の一人によると、ファンドの資金調達に関する計画は初期段階にあり、今後変更される可能性があるとのことです。トランプ大統領は、ファンドの資金源として「関税やその他の賢い方法」を利用する意向を示しています。
商務省、グライムス氏、ホワイトハウスからのコメントはまだ得られていませんが、グライムス氏はモルガン・スタンレーで数十億ドル規模のテクノロジー企業のIPO(新規株式公開)を手掛け、多くの注目を集めていました。彼はまた、2019年にウーバー(Uber)のIPOに先立ち、自ら運転手として働くことで同社との関係を深めたことで知られています。
ソブリン・ウェルス・ファンドの設立は、他の多くの国々、特に中東やアジアで行われている同様の投資ファンドにアメリカが参加する機会を提供するかもしれません。通常、こうしたファンドは国家予算の黒字を活用して投資を行いますが、アメリカは現在赤字を抱えており、その設立には議会の承認が必要となるでしょう。
アメリカ合衆国税関・国境取締局(U.S. Customs and Border Protection)は、輸入関税、税金、手数料を徴収し、その収益は日々アメリカ財務省の運営資金に流入しています。2023年度(2022年10月から2023年9月まで)には、同機関が収集したこれらの収益は880億7000万ドルに上りましたが、前年の923億ドルや2022年の1118億ドルには及びませんでした。このことからも、ファンドの資金調達の実現可能性については様々な疑問が提起されている状況です。
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