米国の対外援助機関であるUSAID(U.S. Agency for International Development)の解雇された職員たちが、ワシントンD.C.のオフィスを離れる際、メッセージの書かれた箱を持っている姿が見られ、元職員や支持者から拍手で見送られる様子が報じられました。この背景には、ドナルド・トランプ大統領が進めた連邦政府の人員削減努力があります。
最近発表されたChallenger, Gray & Christmasの報告によると、2025年2月の米国における解雇通知件数は172,017件に達し、これは前月から245%の増加であり、Covidパンデミックの最中である2020年7月以来の最高水準となっています。特に、2月の解雇件数は2009年の世界金融危機以来の高水準です。
この解雇の約三分の一は、億万長者起業家のイーロン・マスクがドナルド・トランプの承認のもとに進めた連邦政府の人員削減努力に起因しています。Challengerの報告は、17の機関で62,242件の連邦政府の職務が削減されたことを示しています。
Challengerの職場専門家であるアンドリュー・チャレンジャー氏は、「政府効率化の施策や契約のキャンセル、貿易戦争の懸念、企業の破綻が影響し、2月の解雇は急増しました」と述べています。特に、2025年の1月に計画された削減により、今年最初の2ヶ月間の合計は221,812件となり、2009年以来の最高水準であり、2024年同期比で33%増加しています。
この報告は、トランプ大統領の関税政策、政府規模の縮小、さらには厳格な移民制限の影響を受けて、労働市場と経済全体に対する不安が高まっている中で発表されました。消費者調査ではインフレや解雇に対する懸念が示される一方で、経済の強さが続いていることを示すデータも存在しています。また、給与処理会社ADPは、2月に民間部門の雇用が77,000件増加したと報告しています。
Challengerの報告によると、政府だけでなく、小売業界でも解雇が発生しており、メイシーズ(Macy’s)やフォーエバー21(Forever 21)などの企業が大規模な人員削減を発表しました。2025年の小売業の解雇は、2024年の同時期と比較してほぼ六倍に増加しています。また、テクノロジー企業でも14,554件の削減が行われましたが、こちらのセクターでは前年よりも減少しています。
一方で、2月には新たに34,580件の採用計画が発表されており、今年の累計は前年同時期比で159%の増加となっています。特に、ワシントンD.C.では解雇の初回申請が増加しており、政府職員の割合が高い地域での影響が見られます。



