ロサンゼルス川にて、アーティストのローレン・ボン(Lauren Bon)と彼女の非営利アート・リサーチハブであるメタボリック・スタジオ(Metabolic Studio)は、10年以上にわたり「Bending the River」というプロジェクトに取り組んできました。このイニシアチブは、ロサンゼルス市内のL.A.川から水を汲み上げ、浄化し、ロサンゼルス州立歴史公園の灌漑に利用しています。
気候変動政策に影響を与えるのは政治、科学、法律だけではありません。業界の専門家たちは、アートも重要な介入手段であると強調しています。国連海洋会議(UNOC)のアートプログラムを指揮している団体によれば、アートは環境ガバナンス形成において「不可欠な」役割を果たします。UNOCはフランス・ニースで6月9日に始まります。
TBA21ティッセン・ボルネミッザ・アート・コンテンポラリーの共同ディレクターであるマルクス・レイマン(Markus Reymann)氏は、アートと文化が環境やそれを取り巻く人々との関係を「再燃させる」ことができると言っています。
UNOCでは、TBA21が約20の活動を取り仕切り、展示会やワークショップ、パネルディスカッションを通じて再生可能な実践や持続可能性に焦点を当てた海洋への意識を高めるための取り組みが行われます。これらのイニシアチブは「高レベルの政治的意思決定における文化とアートの重要な役割を主張する」との声明が出されています。
「Becoming Ocean: a social conversation about the Ocean」という展示はUNOCの一環であり、20人以上のアーティストの作品を紹介しており、「海が直面する主要な課題を探求」しています。
アーティストのマヤ・ペトリック(Maja Petric)は、その作品が自然を体験したときに感じる感情を喚起することを目指していると述べています。「私は具体的な数値や政策について語るわけではありません。しかし、その作品に留まる人々の姿には証拠があります。時には数分、時には数時間です」と彼女は言いました。
ペトリックは、デジタルアート賞での受賞作「Specimens of Time, Hoh Rain Forest, 2025」において、シアトル近郊のHoh雨林から取得した生の気温データに基づいて色が変わる光るガラス製の立方体の形式を持つ彫刻を発表しました。彼女は「将来、これらの風景が存在しないとしたら、私たちはそれらをどう考えるのか」ということが彼女の作品のアイデアだと述べています。
環境リスクの文脈において、歴史的にアーティストが果たしてきた最大の貢献の一つは、社会全体に失うことの可能性を思い起こさせることですと、ヘンリー・ムーア財団のディレクター、ゴドフリー・ワーズデール(Godfrey Worsdale)が述べています。彼はジョン・コンスタブル(John Constable)の「Cloud Study」のような作品が、人々に自然界の重要性を思い起こさせると説明しました。
ワーズデールは、アーティストのヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)が植樹した7000本のオークの木から成るプロジェクト「7000 Oaks」についても触れ、その横を都市が急速に変化している中でも成長している木の姿が、アートが環境認識を呼び起こす手段となり得ることを示しています。
アートは気候危機を「理解しやすく、行動しやすくする方法」であると独立した団体、ギャラリー・クライメイト・コアリションのコミュニティコーディネーター、ルーラ・ラッポポート(Lula Rappoport)が述べています。彼女は「気候変動がもたらす意味ある政策への最大の障壁は、それがどれほど抽象的で大規模に感じられるかに起因しています。アートは、挑戦的な概念を理解し、代替の未来を想像する手助けをしてくれます」と言いました。
アーティストのアフメット・オグート(Ahmet Ogut)は、アートには「力とエージェンシー」があるとし、政治家や科学者に認められるのを待つ必要はないと語っています。「アートは許可を必要とせず、並行するシステムで活動し、新しいイマジネーションを活性化し、一時的な共同体を形成し、抵抗の手段を提供します」と彼は言いました。オグートは、ボンの「Bending the River」がロサンゼルス川から水を移し、公衆の土地を灌漑することでエコロジーインフラに直接介入した作品であることを挙げ、また「市民の再生」を強調しました。彼の作品「Saved by the Whale’s Tail (Saved by Art)」は2023年9月10日にロンドンのストラットフォード地下鉄駅で発表され、2020年にロッテルダム近くで発生した事故からインスパイアを受けたものです。
オグートは「アートは私たちが地球から分断されているとふりをするのを助けてくれます。未来は大きな宣言の中にはなく、小さく一貫した連帯の中にこそ存在します。アートはそこから始まります」と語り、アートの早期の介入が必要だと強調しました。彼は、アートが単に「美的にする」ためや疑問を投げかけるためだけでなく、最初から平等なパートナーとして取り組まなければならないと提案しています。



