ブラジルの大手肉加工企業JBSは、米国の公募市場において新たに上場しました。JBSの株は、ニューヨーク証券取引所で「JBS」というティッカーシンボルの下、1株あたり13.65ドルで取引を開始しました。この上場は、当初の予定より1日遅れたもので、同社は特定の運営手続きを完了できなかったために木曜日のデビューが叶いませんでした。また、JBSは先週、ブラジルのサンパウロ証券取引所から上場廃止されています。
JBSは、創業から70年以上経つ現在、世界最大の肉加工企業へと成長しました。昨年の同社の純収益は772億ドル、純利益は20億ドルに達しており、これは規制当局への報告書に基づく数値です。JBSは、ブラジル、アメリカ、オーストラリアに大規模な事業を構え、米国の鶏肉大手Pilgrim’s Prideの80%以上の株式を所有しています。
JBSの米国上場は15年以上にわたっての計画が実を結んだものです。2009年には米国子会社が上場計画を発表しましたが、実現には至りませんでした。2016年末には、より広範な再編戦略の一環として米国でのIPOを行うと発表しましたが、その数ヶ月後にはブラジル政府が同社および主要幹部に対する腐敗調査を開始しました。
JBSの株主の支配権を持つJ&F Investimentosは、2017年に贈賄による罰金320億ドルを支払っています。元会長のジョエスリー・バチスタ氏とその兄でCEOのウェスリー・バチスタ氏は、検察と協力することで刑務所行きを免れましたが、2020年には米国証券取引委員会(SEC)と約2700万ドルで和解しました。
バチスタ兄弟はスキャンダル後にJ&Fを離脱しましたが、インサイダー取引の罪が晴れた後に昨年、再び同社の取締役会に戻りました。最近では、ブラジル政府がアマゾンの保護区で不法に育てられた牛を購入したとしてJBSに罰金を科しています。
同社の腐敗や贈賄の歴史は、米国の上場に対する議員の反対を招き、規制当局からの承認が得られない可能性が高まったと言われています。ドナルド・トランプ大統領の再選後、JBSの子会社Pilgrim’s Prideは彼の就任委員会に500万ドルを寄付し、最大の寄付者となりました。JBSは、当時の声明で「市民プロセスに参加する長い二大政党の歴史がある」と述べ、新政権との協力を期待していると表明しました。
4月にはSECがJBSのニューヨーク証券取引所上場を承認しました。翌月、JBSの株主もこの動きを狭い幅で承認しました。



