欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、スコットランドでアメリカ合衆国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と会談し、EUの輸入品に30%の関税が発効する前に、貿易枠組み協定の合意を目指しています。
フォン・デア・ライエン委員長は、トランプ大統領との面会を予定していることをソーシャルメディアプラットフォーム「X」にて発表し、「大西洋の貿易関係について話し合い、関係を強化する方法を検討する」と述べました。トランプ大統領もスコットランド到着時にこの会談を確認し、「取引が成立するか見てみましょう」と意気込みを示しました。さらに、同大統領は「良い50対50の確率だと思います。これは大したことです」と追加しました。
現在、関税の突破口を期待する声が高まる中、関係者によれば、EUからのアメリカへの輸入に対する15%の基準関税が含まれる取引案が主なシナリオとして浮上しています。トランプ大統領は、8月1日からEU製品に30%の関税を課すことを示唆しており、EU側はその反応として対抗措置を検討しています。
米国とEUは、世界最大の二国間貿易・投資関係を有し、世界の物品およびサービス貿易の約30%を代表し、世界の国内総生産(GDP)の43%を占めるとのデータもあります。
トランプ大統領は、スコットランドでの4日間の滞在中に、英国のキア・スターマー(Keir Starmer)首相との非公式会談も行う予定です。EUとは異なり、英国は最近トランプ政権との間で、10%の関税基準を中心とした貿易協定を締結しました。
米国とEUが8月1日の貿易戦争を回避できるとの期待は、最近のアメリカと日本の間で発表された枠組み協定も一因とされています。この協定はトランプ大統領が「おそらく今までで最大の取引」と表現したもので、基準関税率は15%です。
キャピタル・エコノミクスのユーロ圏副主席エコノミスト、ジャック・アレン=レイノルズ(Jack Allen-Reynolds)は、EU向けの同様の枠組みが「悪い取引よりはまし」という見方になるかもしれないと述べました。「今週の報告によれば、EUと米国はブロックからの米国輸入に対し15%の基準関税を伴う貿易協定の合意寸前であるようです。良い取引とは言い難いが、少なくともより高い米国関税やEUからの報復を避けることができるでしょう」と彼は研究ノートに記しています。



