米国の連邦取引委員会(Federal Trade Commission、略称FTC)の委員であるレベッカ・スローター(Rebecca Slaughter)は、火曜日に米国控訴裁判所の判決により、同機関での職務を再開できることとなりました。この判断は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がスローターを解任しようとする動きを受けたものです。
コロンビア特別区控訴裁判所は、スローターに有利な下級裁判所の判断を支持し、トランプ政権の控訴に対する効力停止請求を却下しました。この判決は、FTCの委員が大統領によって理由なく解任されることはないとのもので、法律上この点は90年以上にわたり明確であると述べています。
判決文では「政府が控訴に成功する可能性は低い」と強調されており、「この裁判所の支持する判決は、米国最高裁判所の設定した前例に反する必要がある」と述べています。
トランプ大統領によって指名されたネオミ・ラオ(Neomi Rao)判事は、反対意見を表明し、「大統領によって解任された官職の再任命を連邦裁判所が命じる権限はない」と指摘しました。スローターは、今回の判決を受けて喜びを表し、「トランプは法の上にいるわけではない。明日からすぐに、アメリカ国民のために任務を再開することを楽しみにしている」とコメントしています。
ホワイトハウスはこの件に関するコメントには即座に応じていません。FTCは消費者保護および反トラスト法の施行を担当しています。
スローターは2018年にトランプ大統領によってFTCの委員に任命され、2021年1月にはバイデン大統領によってFTCの暫定議長に選任され、2023年には再任される形となりました。バイデンが任命したスローターの任期は2029年9月までとなっています。
7月には連邦判事が、トランプ政権によるスローターの解任試行が連邦法における解任保護に準拠していないとの判決を下しました。FTCは二大政党制の構造を持ち、5人の委員のうち同一政党からは3人までしか任命できないため、委員の雇用および解雇に関する制限が設けられています。
トランプ氏は3月にFTCの2名の民主党委員を解雇し、規制機関の独立性に対する大きな試練となりました。このスローターとアルバロ・ベドヤ(Alvaro Bedoya)委員の解雇を巡る紛争は、米国最高裁判所に持ち込まれる可能性があり、90年前の判決によればFTCの委員は業務怠慢などの「正当な理由」がない限り解任できないとされています。ベドヤ氏は6月に別の職に就くために正式に辞任し、今回のケースには関与していません。



