Uber×Jobyの空飛ぶタクシーが、2026年中にドバイで商業運航を開始する。UberとJoby Aviation(NYSE:JOBY)は2026年2月24日、電動垂直離着陸(eVTOL)機をUberアプリに統合した新サービス「Uber Air powered by Joby」を正式発表した。乗客はアプリ上でワンタップ操作のみで空路と地上交通を一括予約できる。
Joby Aviationが開発したeVTOL機は、最大4名の乗客を乗せて時速約320km(200mph)まで到達可能で、一充電あたりの航続距離は約160km(100マイル)に達する。全電動推進システムと軽量複合材構造を採用したキャビンは、従来のヘリコプターと比較して騒音レベルを大幅に低減しており、高密度な都市空間でのゼロエミッション運航に適している。有資格の商業パイロットが操縦を担い、安全性を確保する。
初期フェーズでは、ドバイ国内に4カ所のバーティポート(垂直離着陸場)が整備される予定だ。接続拠点はドバイ国際空港(DXB)、大型ショッピングモール、パーム・ジュメイラのホテル、そしてアメリカン・ユニバーシティ・オブ・ドバイとなる見込みで、すでにドバイ国際空港では建設工事が進行中だという。なお、DXBからパーム・ジュメイラまでの飛行時間は約12分とされており、自動車では約45分を要する同区間を劇的に短縮できる見込みだ。
サービスの利用フローは以下の通り。乗客はUberアプリの「目的地」欄に行き先を入力すると、対象ルートの場合に「Uber Air powered by Joby」のオプションが表示される。ワンタップで自宅からバーティポートまでのUber Blackによる地上送迎と、Joby機による空路区間の両方が一括で予約・管理される仕組みだ。この一体型の予約体験により、乗り換えの煩雑さを排除し、シームレスな都市間移動を実現する。
Uberの最高製品責任者(CPO)サチン・カンサル氏は「先進的な空中移動技術は都市の移動体験を根本から変革できると確信している」と述べた。Joby AviationのCPOエリック・アリソン氏は「Uberとの提携により、なじみのあるプラットフォームインターフェースに新しい移動手段を自然に溶け込ませることができる。乗客にとっては操作の学習コストがなく、貴重な時間の節約につながる」と指摘した。また料金はUber Blackと同水準になるとJoby創業者兼CEOのジョーベン・ベバート氏は明かしている。
規制面では、Joby Aviationは2026年1月、米連邦航空局(FAA)によるType Inspection Authorization(TIA)に基づく初のテストを完了し、型式証明プロセスの最終段階に正式移行したと発表した。TIA審査では、FAAのテストパイロット4名が3日間にわたり、フライトシミュレーターを用いてヒューマンファクター評価を実施した。航空機の設計・安全試験・運航基準・整備規定など複数分野を網羅するこの認証プロセスは、商業運航開始への最大のステップとなる。
両社の関係は2020年に遡る。Joby Aviationは同年、Uberの空中移動部門「Uber Elevate」を買収し、UberはJobyに7,500万ドル(約112億円)を出資した。当時はCOVID-19感染拡大の初期段階にあたり、Uberは自動運転車部門をAuroraへ売却するなど非中核事業を整理していた時期だった。近年はLucidやNuroとの提携を通じてロボタクシー分野にも展開を続けており、モビリティ技術への持続的な投資姿勢を示している。
ビジネス戦略の観点では、Uberが独立した専用アプリを設けず既存プラットフォームへの統合を選択したことは、膨大な既存ユーザーベースを活用して新サービスの普及を加速させる意図を反映している。Joby Aviation側にとっても、成熟した移動プラットフォームとの連携はマーケティングコストと顧客教育コストの大幅な削減につながり、Uberの蓄積するデータシステムやルーティング技術を活用した航路効率の向上も期待できる。
Uber×Jobyの空飛ぶタクシーの本格普及は、規制当局の最終承認、バーティポートを中心としたインフラ整備、そして運航コストの最適化という三つの課題を克服できるかどうかにかかっている。ドバイでのサービス開始後は、ニューヨーク、ロサンゼルス、英国、そして日本市場への拡大が計画されており、都市航空モビリティの商業的実現が現実味を帯びてきている。果たして「空飛ぶUber」は、日本の交通渋滞を過去のものにする日が来るのだろうか?

