Oris 新作がWatches and Wonders 2026で、復刻と月相を軸に発表された。

Oris 新作、Watches and Wondersでの展示概要
Watches and Wonders(高級時計見本市)でのOrisのブースは、前年から大きく方向転換した。過去に使われた象徴的な大型熊の装飾は姿を消し、都市の夜景と月光を主題にした空間に置き換わっている。
暗めの建築輪郭を背景に、会場中心には巨大な月が配され、冷色基調の照明で落ち着いた雰囲気を作っている。展示の演出は、製品ラインと歴史紹介が一体となる設計だ。
ブランド史の再提示とRolf Portmannの役割
会場ではブランド史の解説も強化されている。中心に据えられたのはRolf Portmann(ロルフ・ポルトマン)博士の取り組みだ。
Portmann博士は1950年代にOrisの機械開発の制約解消に着手した人物で、約十年の努力を経て制度変更を促した。1966年に登場したOris Starはその流れの産物である。

復刻としてのOris Star Edition
Oris 新作のうち一つはStar Editionの復刻である。重要なのは外観だけでなく、ブランドの転機を象徴する歴史性だ。
モデルは35.00mmステンレススチールケースを採用している。枕型の輪郭と銀色ダイヤル、立体的な時標と太めの針が1960年代の雰囲気を残す。
風防はアクリル風防を踏襲し、柔らかな反射で復古感を強める。ムーブメントはOris Calibre 733自動巻きで、約41時間のパワーリザーブを備える。

現代の視点で見ると、この復刻は腕時計の存在意義を問う作品でもある。スマートデバイスが日常の時刻表示を担う中、Oris Star Editionは腕時計を選ぶ理由を歴史とデザインで示している。
Artelier Complicationの設計思想
もう一方のOris 新作はArtelier Complicationだ。こちらは日常使いに近い実用性を重視したモデルである。
デザインはArtelierコレクションを基に再構成された。建築や工芸からの着想を得て、伝統要素と現代的な解釈を組み合わせている。

本作では従来の四つのサブダイヤルを上下の二つに整理し、視認性を高めた。月相表示のためのスペースを明確に確保している。
月相は単なる装飾ではなく、面全体の調和を意識して同色トーンの星空背景で統合されている。下部サブダイヤルとの呼応により全体が一体化する。
ケースは39.50mmステンレススチール、厚さ11.80mmで、実用と装飾のバランスに配慮した寸法だ。ムーブメントはOris Calibre 782自動巻き、約41時間の動力を備える。

シリーズはアイボリーホワイト、ミッドナイトブルー、マロンクリームの3色で展開される。革ストラップとステンレスブレスの両方が用意された。
展示とシリーズの意義
展示全体として、Oris 新作は過去と現在の対話を意図している。Star Editionは出発点を想起させ、Artelier Complicationは現代の装着ニーズに応えた。
月と星というビジュアルモチーフは、視覚的な呼応を生み出すと同時に、時間そのものへの解釈を重ねるものとなった。今回の発表はブランドの核を改めて示す機会となった。

Watches and WondersでのOris 新作は、復刻と新作の両面からブランドの物語性を提示した。今後の販売時期と価格は追って発表される予定である。

