Geminiを搭載する端末内AI機能に対応していないと知ったとき、旗艦機を買ったユーザーは戸惑うだろう。Samsung Galaxy S25 UltraやPixel 9 Proを既に持っている人は、特に驚きが大きいはずだ。
Googleが今夏に展開する「Gemini Intelligence」は、端末内で直接動作する高度なAI機能群である。クラウド接続を必須とせず、応答速度とプライバシー保護の向上をうたう。
しかし、同機能の要件は厳格だ。Googleが定めた5つの門戸を満たさないと「本地のGemini」は動作しない。結果として、昨年発売の多くの旗艦機が対象外になっている。
Gemini Intelligenceが要求する条件
Googleは以下の5項目をすべて満たすことを必須としている。
- RAM:12GB以上。8GBは不適格である。
- プロセッサ:フラッグシップ級SoC。例としてSnapdragon 8 Elite、Tensor G5、Dimensity 9400/9500が挙げられる。
- AIエンジン:端末にGemini Nano v3を搭載していること。Nano v2では不可である。
- OSアップデート保証:Androidメジャーバージョンのアップデートを少なくとも5回提供すること。
- セキュリティ更新:6年間、四半期ごとの更新を最低限提供すること。
このうち最も影響が大きいのはAI基盤モデルのバージョン、すなわちGemini Nano v3の搭載要件である。処理性能やRAMが十分でも、搭載されるNanoの世代が古ければ不合格となる。
達成機種一覧
Googleの開発者向けドキュメントでNano v3対応が明記されている機種を整理する。
| ブランド | 機種 | 備考 |
|---|---|---|
| Pixel 10、Pixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XL、Pixel 10 Pro Fold | 全項目で要件を満たす | |
| Samsung | Galaxy S26、S26+、S26 Ultra | 全項目で要件を満たす |
| OPPO | Find X8、Find X8 Pro、Find X9、Find X9 Pro | Nano v3確認、OPPOは5回のOSアップデートを約束 |
| vivo | X300、X300 Pro | Nano v3確認、更新方針が符合 |
| Honor | Magic8 Pro | Nano v3確認。ただしHonorは独自のアシスタントを重視しており、Gemini Intelligenceの完全サポート状況は未明 |
灰色領域(Nano v3は搭載、更新方針は未確定)
- OnePlus 15 / OnePlus 15R:Nano v3は確認されたが、公式に5回のOSアップデートを明言していない。
- iQOO 15:Nano v3の搭載情報はSNS等で確認できるが、地域別の公式ページでの明確なアップデート保証は未確認である。
- realme GT 7T:Nano v3搭載は確認されているものの、SoCが典型的なフラッグシップではなく、8GBモデルは要件外である。
不達成とされた代表機種
| 機種 | 問題点 |
|---|---|
| Samsung Galaxy S25 シリーズ | Nano v3のサポートリストに含まれていない |
| Samsung Galaxy Z Fold7 | 同様にNano v2搭載である |
| Google Pixel 9 シリーズ | 開発者向け資料でNano v2と記載されている |
| Xiaomi 15 / 17 シリーズ | Nano v2、かつOSアップデートは4回のみで二重に不適合 |
| OnePlus 13 | Nano v2、OSアップデート4回のみ |
| realme GT 7 Pro | Nano v2、OSアップデート3回のみ |
注目すべきは、OPPO Find X8 / X9シリーズが香港市場で例外的にNano v3を満たし、かつ5回のOSアップデートを公約している点である。Find X8は2024年末に発表された機種で、同時期の競合より条件を満たす稀な例だ。
なぜPixel 9 Proも非対応なのか
Pixel 9 ProはTensor G4と最大16GBのRAMを搭載し、表面的な仕様だけを見ると申し分ない。しかし、Googleの開発者向け文書はPixel 9シリーズをNano v2搭載と明記している。つまり、自社製の昨年旗艦を今回の要件で除外する形になっている。
この状況は、試験制度が更新されて参照書が陳腐化するような構図に似ている。仕様の細部、特に搭載するAIモデルの世代が合否を分けるのだ。

あなたの端末でGeminiは使えるか
結論から言うと、Gemini App(クラウド版)は現在どのAndroid端末でも利用可能である。香港では2026年3月16日からウェブ版がVPN不要で利用できるようになった。
ただしここで問題なのは今年夏に始まるGemini Intelligence(端末内実行版)だ。こちらはオンラインに依存せず、端末単体で計算を行うため、前述の5条件を満たす機種でなければ利用できない。
要するに、日常的なGeminiの利用は昨年旗艦でも問題ないが、より高速でプライバシー性の高い「端末内AI」を期待する場合は機種変更が必要になる可能性が高い。
補足情報として、流出した仕様によればPixel 11のベースモデルはRAMが8GBからの構成となる可能性がある。もしそれが事実なら、Geminiの12GB要件を満たせず影響を受ける可能性がある。こちらは別稿で詳報する予定である。



