映画館でのポップコーンは長年にわたり欠かせない一品であり、映画鑑賞の体験にはなくてはならない存在です。そして、ポップコーンが入ったバケットの重要性が高まっています。最近の動きでは、AMCエンターテインメントは、このトレンドの最前線に立っています。特に、2023年10月に公開された「Taylor Swift: The Eras Tour」映画の際には、驚くほど多くのポップコーンバケットが販売され、約6500万ドルの収益を上げました。
AMCのCEO、アダム・アーロン氏は「私たちの映画のリリースをきっかけに、ポップコーンバケットの需要が爆発的に増加しました。これにより、毎月新たなデザインのバケットを販売し続ける努力が始まりました」と述べています。このように、特別なポップコーンバケットは、観客を映画館に呼び込むための強力なツールとなっています。
シネマーク、マーカス、リーガル、B&Bシアターなど、他の映画館チェーンもこの流れに追随しています。特に、ポスト・コロナ禍において、映画館のイベント性がこれまで以上に重要視されています。B&Bシアターのコミュニケーションおよびコンテンツ担当ディレクター、ポール・ファーンスワース氏は「観客は映画館に足を運ぶ習慣を失っていたことに気づき、ポップコーンバケットはその記憶を呼び起こす手助けをしています」と語ります。
しかし、2024年の映画業界は制作上の問題から公開作品が減少しており、興行収入も前年比で3.4%減少して87.4億ドルとなっています。このような状況下で、特別なポップコーンバケットは顧客の映画体験に価値を加える存在と言えるでしょう。
例えば、シネマークは「Scream VI」に合わせたポップコーンバケットを販売し、瞬く間に完売。オンラインでの需要も高まり、再度の販売を強いられる結果となりました。こうした新しいマーケティング戦略は、消費者の「取り逃がし」の感情を刺激し、商品購入を促進しています。
以前からテーマパークでは記念バケットが販売されていましたが、米国の映画館チェーンはそのトレンドには遅れをとっていました。マーケティング会社Zincは、過去10年間にわたり国際的にポップコーンバケットをデザインしてきましたが、2016年からアメリカ市場に注力しています。その背景には、客席のカップホルダーに合わないといった懸念もありました。しかし、2019年には「スター・ウォーズ: スカイウォーカーの夜明け」に関連したR2-D2のポップコーンバケットが成功を収め、「これが可能であると認識されました」とMason氏は説明します。
今後も、映画の公開が続くにつれ、ポップコーンバケットの需要はますます高まっていくでしょう。2025年には「キャプテン・アメリカ: ブレイブ・ニュー・ワールド」に続き、多数のビッグタイトルが控えています。映画館は、こうした商品をどれだけ、いかに売り出すかを計画的に進めている状況です。AMCは、今後100,000ユニット以上の注文を積極的に行う意向を示しています。映画の初日だけで完売することなく、数週間にわたって観客を迎え入れる体制を整えることが重要です。



