住宅建設において、アメリカでは木材やドライウォール、家電製品、内装仕上げなど、数多くの素材が国外から調達されています。これらの製品の価格は、ドナルド・トランプ大統領の政権が中国、メキシコ、カナダに対して関税を課すことに伴い、上昇する見込みです。
特に、中国からの製品に対する関税は10%から20%に引き上げられ、カナダとメキシコからの製品には25%の関税が適用されます。この影響で、建設業界では一戸当たりの建設コストが約7,500ドルから10,000ドル増加する可能性があると、全米住宅建設業者協会(NAHB)のチーフエコノミスト、ロブ・ディーツ氏が指摘しています。NAHBによると、昨年、新築住宅の中央値が1,000ドル上昇すると、約106,000人の潜在的買い手が市場から除外されるという見積もりが出ています。
木材コストの増加が建設業者に最も大きな影響を及ぼすと予測されており、アメリカの建設業界における木材の約三分の一はカナダからの輸入に頼っています。また、国内の木材生産者は、輸入価格に合わせて価格を引き上げると予想されています。
トランプ大統領は、土曜日に国内の木材生産を増やすための行政命令を発表しました。これは、規制や許可プロセスの簡素化を通じて行われます。LBA(全米建設業者協会)のCEO、ケン・ギア氏は声明で「安定的で手頃な木材の供給は、住宅供給問題に対処するために重要です」と発表しました。
新たな生産施設の設置には数年を要する見込みで、これには限られた数の製造業者が関与しています。新型コロナウイルスのパンデミック初期における需要の高まりにより、木材生産者は急いで生産能力を拡大しようとしましたが、設備の供給が遅れています。
建設業界はまた、増加する経費にも直面しています。2023年には、アメリカが世界最大の石膏輸入国となり、215百万ドルが輸入されています。高まる関税が建設業者に与える影響は、最終的に消費者にコストが転嫁される可能性があり、住宅価格が上昇することが懸念されます。
新築住宅の価格が上昇することで、中古住宅に対する需要が高まり、既存住宅の価格も上がる可能性があります。最後に、最近の住宅ローン金利は低下傾向にあり、過去数週間で劇的に改善されていますが、トランプ政権の施策が住宅市場に与える影響は依然として懸念されます。
全体的に、アメリカの住宅市場は多くの課題に直面しており、建設業界に対する新たな関税が及ぼす影響は今後の市場動向に大きく関わってくるでしょう。



