現在のマーケットの動向を分析しますと、アメリカの株式市場で「トランプバンプ」と呼ばれる現象が収束している兆しが見えます。特に、テスラ(Tesla)株の急落はその代表的なケースです。火曜日には、テスラの株価が大幅に下落し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の当選・就任後の株価上昇分をほとんど失ってしまいました。
トランプ大統領の関税政策が経済に及ぼす影響について、消費者の懸念が高まっています。アメリカのコンファレンスボードが実施した調査によると、雇用の可用性、ビジネス環境、将来の収入についての悲観的な見方が広がり、2025年のインフレ期待も高まっています。このニュースを受けて、10年物国債利回りが成長期待の指標として低下し、株価は引き続き下げています。今後、この流れが変わらない場合、我々は「トランプスランプ」に直面する可能性があります。
今日の重要なポイント
2025年のナスダック(.IXIC)は赤字
火曜日には、S&P 500(.SPX)が0.47%下落し、四日連続での下落を記録しました。ナスダック・コンポジット(.IXIC)は1.35%の下落となり、年初以来のマイナス圏に入っています。一方で、ダウ・ジョーンズ工業株平均(.DJI)は0.37%上昇しました。ヨーロッパのストックス600(.STOXX)は0.15%の上昇です。
英国では、首相のキア・スターマー(Keir Starmer)氏が年次防衛予算の増額を発表したことにより、防衛株が上昇しました。
消費者信頼感の低下
アメリカのコンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数は、2月に98.3に下がり、事前の予測102.3を下回りました。これは2024年6月以来の最低水準で、2021年8月以来最大の月間下落を記録しました。消費者の12か月間のインフレ期待は6%に上昇し、先月の5.2%から大きく変動しています。連邦準備制度(Fed)の目標である2%を大きく上回っています。
テスラはトランプ氏の恩恵を大きく失う
テスラの株価は8.4%下落し、時価総額は1兆ドルを下回り、2024年11月7日以来の最低水準に達しました。この株は年初来で25%も下落しており、ナスダックの1.5%の下落と比べても大きいと言えます。企業の業績に対する懸念が高まる中、CEOのイーロン・マスク(Elon Musk)がワシントンD.C.での多忙なスケジュールを送っていることも影響しています。
スーパーマイクロコンピュータ(Super Micro Computer)が上場廃止を回避
スーパーマイクロコンピュータの株式は、同社が2024年度の財務結果を期限内に提出し、ナスダックからの上場廃止を回避したことで、取引時間外で最大23%上昇しました。監査済みの最新の財務情報によれば、2024年度の売上高は149.9億ドルに倍増しました。昨年、会社が年次報告を遅延した後、「アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)」から監査人を失ったことが報告されています。
アップル(Apple)がアメリカに投資予定
アップルはアメリカにおいて、人工知能(AI)サーバーを生産する新工場をテキサス州に開設する計画を発表しました。これはアメリカへの5000億ドルの投資の一環で、同社は全米で約2万人を新たに雇用する計画です。この動きは、同社のCEOティム・クック(Tim Cook)が先週トランプ氏と会談した後に行われました。
市場への影響は一時的か
最近、株式市場は厳しい状況にありますが、ファンドストラット・グローバルのリサーチ責任者であるトム・リー(Tom Lee)氏は、これは単なる「軽傷」である可能性があると述べています。つまり、市場は回復する可能性があり、投資家によるディップ買いが進むと期待されています。
最後に…
エヌビディア(Nvidia)社は水曜日に第四四半期の決算発表を予定しています。この結果が、同社にとって非常に記録的な年を締めくくることが期待されています。FactSetの調査によると、1月に終了した四半期の売上高は380億ドルに達すると予測されており、前年同期比で72%の増加となります。しかし、最近は投資家が今後の成長に疑念を抱いているため、同社の株価は鈍化しています。1年前とほぼ同水準で推移しており、最大の顧客が支出を抑制する兆しが無いか、警戒されています。



