インドのオディシャ州バドラク地区に位置するダムラLNGターミナル(Dhamra LNG Terminal Private Limited)では、労働者たちがジェティのプラットフォームの上を歩いています。インド経済の急成長を支える天然ガス業界の活況は、自国のエネルギーミックスの変革を促進しています。
インドは、2030年までに液化天然ガス(LNG)の輸入量を2倍にする計画を立てており、この動きはアメリカにとっても喜ばしいものです。2023年末時点で6.7%だった天然ガスのエネルギーミックス比率を、2030年までに15%に引き上げようとするインド政府の意向が背景にあります。Morgan Stanleyのエクイティアナリストであるマヤンク・マヘシュワリ氏によれば、「インドは、世界のLNG市場で急成長しており、今後10年間で輸入量がほぼ倍増する」とのことです。アメリカからのLNG輸入は、インドのガス経済への移行において重要な役割を果たすでしょう。
また、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、他国がアメリカの輸入品に関税を課す場合には「相互関税」を課す計画を発表しました。このような背景の中、エネルギー貿易は両国の関係を強化する架け橋として期待されています。最近のワシントンでの首脳会談において、トランプ大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は、「アメリカがインドに対する主要な石油とガスの供給国となることを目指す」と合意しました。
インドの天然ガス需要は急速に拡大しており、圧縮天然ガス(CNG)を燃料とする車両の販売は2024年に33%増加し、50万台を超えました。また、過去7年間で家庭へのパイプ天然ガス接続数も250%増加し、1190万件に達しています。インドはさらに、重トラックの3分の1をディーゼルから液化天然ガスに切り替える計画も発表しました。これにより、食料安全保障に重要な役割を果たす肥料製造においても、天然ガスは欠かせない存在です。
とはいえ、国内の生産量は需要に追いつく見込みが薄いとのことです。Rystad Energyのアナリスト、カウシャル・ラメシュ氏は、「2020年から2025年の間に国内ガス生産は51%増加する見込みですが、これでは国の成長する需要を満たすには不十分です」と指摘しています。
アメリカからのガス輸出は、インドにとって重要な供給源となり得ます。Morgan Stanleyのマヘシュワリ氏によれば、「アメリカのLNG輸出は、価格に敏感なインドの消費者にとって配送ベースで手頃で、それは約30%安い価格です」とのことです。また、ゴールドマン・サックスのインディアチーフエコノミスト、サンタヌ・センギュプタ氏は、エネルギー購入が進化する米印関係の重要な要素となっていると指摘しています。
各国間の貿易関係は複雑ですが、共通のグラウンドを見つける意欲が両国にあるようです。インドはすでにいくつかのアメリカの製品に対する関税を削減し、農産物への市場アクセスを拡大しています。インドとアメリカの貿易関係がさらなる進展を遂げることを期待したいところです。



