ウクライナのジトーミル地域で2025年2月26日に行われた花崗岩の採掘作業が進む中、ウクライナとアメリカの関係に新たな展開が見られています。ウクライナは、ドナルド・トランプ大統領の政権に対して、重要な鉱物資源へのアクセスを提供することを提案し、これが広範な平和交渉の一環として進められていますが、専門家はその鉱鉱の価値やアクセスの難しさに疑問を呈しています。
ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、金曜日にワシントンを訪れ、トランプ大統領との間で、ウクライナのレアアース、重要な鉱物、石油、ガスなどの自然資源を共同で開発・活用するための契約を締結する可能性があるとのことです。
トランプ氏は以前、アメリカのウクライナに対する援助に対する補償としてこの合意を位置づけ、契約の価値は5000億ドルに上ると主張しています。しかし、ウクライナ政府はこの金額について強い異議を唱えており、実際の契約内容にはこの数字は記載されていないと報じられています。
国連が示すように、ウクライナには「重要なレアアース鉱物が豊富に存在する」とされています。ウクライナはリチウムやコバルトを含む、充電式バッテリーに広く使われるレアメタルの宝庫と見なされており、またアルミニウムの合金剤として使用されるスカンジウムや、電気自動車用バッテリーの製造に用いられるグラファイト、電子機器に使われるタンタルなども含まれています。
ウクライナ環境保護・天然資源副大臣のスヴェトラーナ・グリンチュク氏は、「ウクライナには世界の『重要な原材料』の約5%が存在する」と述べています。このように、ウクライナには豊富な資源があるものの、そのアクセスの難しさや規模については多くの未解決の問題が残されています。これは、ロシアによる占領地域が多く、戦争の結果に依存しているためです。
さらに、アトランティック・カウンシルの専門家たちは、ウクライナの鉱物資源の量や価値についても疑問を呈しています。アトランティック・カウンシルのグローバルエネルギーセンターのリード・ブレイクモア氏は、ウクライナが実際にはレアアース元素の大規模な量を有していないと指摘しています。代わりに、ウクライナはアメリカの防衛産業やハイテク経済にとって基礎的な資源であるチタン、グラファイト、リチウムの重要な埋蔵量を持っているとのことです。
ただし、これらの鉱物を採掘することは、依然として多くの課題を抱えています。特に、ウクライナの鉱物資源の多くはロシアに占領されている地域に位置しており、採掘の困難さが制度的に増しています。政治的な専門家であるロバート・マッガー氏は、ウクライナの鉱物資源の投資機会について語りつつも、その採掘を実現するのが異なる問題であることを強調しています。彼は現在、ロシアがウクライナの石炭鉱山の60%以上を占領しており、この地域での資源の収益がロシアの影響を強化する可能性があると述べています。
最後に、中国が鉱物の精製と加工において圧倒的な市場力を持っていることも指摘されています。鉱物供給網のリスクを軽減するためには、アメリカが新たに確保した鉱石が北京に流れないよう、インフラの強化が必要であるとされています。現在、アメリカにはヨーロッパや北アメリカで大規模に鉱石を輸送・精製するためのインフラが不足している状況です。



