米国連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長は、2025年3月7日金曜日にニューヨークで開催されたシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの金融政策フォーラムにおいて、政策の進展を見守る姿勢を示した。パウエル議長は、ドナルド・トランプ大統領の攻撃的な政策が結果を示すまで、金利に関する動きは待つべきだとの認識を発表した。
トランプ大統領の関税案を含む政策提案に対する市場の不安は高まっており、パウエル議長は最近の声明を繰り返し、金融政策において忍耐が必要であるとの見解を示した。「ホワイトハウスは貿易、移民、財政政策、規制の四つの分野で重要な政策変更を実施中です」と述べ、これらの政策変更の総合的な効果が経済や金融政策にとって重要であると強調した。
パウエル議長は「これらの変更とその影響についての不確実性は依然として高い」とし、景気見通しの変化に対して「情報の信号とノイズを分けることに注力している」と発言。焦る必要はなく、さらなる明確さを待つ姿勢を強調した。
一方で、トランプ大統領の政策に関する変化が市場に影響を及ぼしており、トレーダーたちは年内に0.75パーセントの利下げを予測しているというCMEグループのFedWatch指標も示されている。しかし、パウエル議長の発言は連邦準備制度がさらなる政策緩和に向けて様子見の姿勢であることを示唆している。
「政策にはあらかじめ決まった路線はありません。現在の政策姿勢は、我々が両サイドの二重任務を追求する上で直面するリスクと不確実性に対処するために適切です」と述べた。本フォーラムはシカゴ大学のブース・スクール・クラーク・センターが主催しており、複数の連邦準備委員会の関係者も出席している。
近年の中央銀行の政策担当者は、経済が堅調であり、インフレが連邦準備制度の目標2%に戻ることを期待しているとし、トランプ大統領の政策の明確化が進むにつれ金利環境も不明瞭であることを示している。パウエル議長は、米国経済が「良好な状態にあり、労働市場が堅強」であることを述べ、インフレが目標水準に向けて戻っているとの見解を示した。
ただし、最近のセンチメント調査ではトランプ大統領の関税発言によりインフレの進展に対する懸念が高まっていることに言及した。連邦準備制度が好む指標によると、12ヶ月間のインフレ率は2.5%で、食品やエネルギーを除くと2.6%である。
「インフレを持続的に目標に戻すための道のりは平坦ではなく、今後もその流れが続くと我々は予想しています」とパウエル議長は述べた。また、フォーラムには出席していなかった連邦準備委員会のアドリアナ・クグラー理事もポルトガルでの演説で「インフレには重要な上昇リスクがある」と指摘し、政策金利を現在の水準で維持することが適切である可能性を示唆した。
さらに、この発言のタイミングは、労働省が2月の非農業部門雇用者数が151,000人増加したとの報告を行った同日である。市場予想をやや下回ったものの、パウエル議長はこの報告が「労働市場が堅調であり、均衡が取れていることを示すさらなる証拠である」と述べた。「賃金はインフレよりも早く成長しており、パンデミック回復初期よりも持続可能なペースで推移しています」とも言及した。平均時給は2月に0.3%上昇し、年率で4%上昇したことも報告されている。また、失業率は家庭雇用の減少により4.1%に若干上昇した。



