アメリカの著名な新聞であるワシントン・ポストは、創業者のジェフ・ベゾスによって新たな方針が発表されました。ベゾス氏は、同紙の意見ページを「個人の自由と自由市場」を支持する内容に特化させ、対立する意見は掲載しない方針を明らかにしました。この変更に伴い、編集者のデビッド・シプリー氏は辞任を決断し、新しい意見編集者を探すことになるとのことです。
この新方針は一部からは称賛されましたが、特に元編集者のマーティ・バロン氏は「不快に感じている」と述べており、内部からの反発も見られます。ベゾス氏は、意見セクションの主旨が以前とは異なり、現在はインターネットが多様な意見をカバーする役割を担っていると指摘。彼は「自由市場と個人の自由がアメリカにとって正しいと確信している」と意気込みを示しました。
さらに、2024年の大統領選挙を控えた状況において、ワシントン・ポストが候補者を支持しない決定を下したことは話題を呼んでおり、読者の間では約250,000人が購読をキャンセルしたとの報告もあります。特にトランプ前大統領との密接な関係が注目されており、ベゾス氏がこのような方針を打ち出すことで、再び「フェイクニュース」との批判に直面する可能性があります。
最近、ベゾス氏が主導する方針変更に反発して複数のスタッフが辞任しており、その中にはイラストレーターのアン・テルネス氏やコラムニストのジェニファー・ルービン氏も含まれます。特にルービン氏は、富裕層メディアの影響力を批判し、支持者を裏切る行為だと非難しています。
このような動きは、報道の自由や言論の多様性が重大な影響を受ける可能性があるため、ジャーナリズム界において広く注目されています。ニューヨーク大学のジャーナリズム教授、アダム・ペネンバーグ氏は、報道機関の所有者が編集方針に介入することは珍しくないが、ベゾス氏のように特定のイデオロギーに基づいた指示を出すことは、他のケースとは異なると指摘しています。
ワシントン・ポスト内部では、報道内容への影響についての懸念が高まっているものの、一部の記者は通常の取材活動には影響がないと述べています。しかし、経済部のジョフ・スタイン記者は、ベゾス氏の決定が意見セクションへの「大規模な干渉」であり、異議を唱える声が抑圧されることを警告しています。これらの動きは、今後の報道機関やメディアの独立性に新たな課題を投げかけることとなるでしょう。



