アメリカの新聞業界において注目を集める動きが見られています。アマゾンの創業者であり、「ワシントン・ポスト」(The Washington Post) のオーナーであるジェフ・ベゾス (Jeff Bezos) は、自らの新聞の意見ページを「個人の自由と自由市場」を支持する内容に特化させ、反対意見を発表しない方針を打ち出しました。
ベゾス氏は、従業員向けのメールで「他のトピックももちろん扱うが、これらの柱に反する見解は他者に委ねる」と述べました。この新方針により、編集長のデイビッド・シップリー (David Shipley) が辞任することとなり、「もし返答が’絶対にイエス’でなければ、その答えは’ノー’であるべきだ」とベゾス氏は語りました。新しい意見編集者を探すという計画も明らかにされました。
ベゾス氏は、「大手新聞が過去においてはすべての見解を扱うことをありがたいサービスと考えていたが、今はその必要がない」と主張しました。これにより、インターネットがその役割を担っていると説明しました。彼は「自由市場と個人の自由がアメリカにとって正しい」と自信を持って述べ、現在のアイデア市場においてこれらの見解が十分に扱われていないと考えています。
この方針の変更により、ベゾス氏はドナルド・トランプ (Donald Trump) 大統領に好意を示す動きと捉えられ、批判が集まることが予想されます。2024年の大統領選挙の約2週間前、同紙は候補者の支持を表明しないと発表しましたが、これは数十年の伝統を破るものです。
最近の調査では、新方針に対する反発から25万人以上の読者が解約したことが報告されており、反響は広がっています。政治的な緊張が高まる中、他の記者たちもこの変化に対して様々な反応を見せており、意見欄への強い影響を懸念する声も上がっています。
ニューヨーク大学のジャーナリズム教授アダム・ペネンバーグ (Adam Penenberg) は、新聞の経営者が編集に関与することは珍しいことではないと指摘しつつ、ベゾス氏のように特定のイデオロギーに合わせた方針を求めることは特異な例であると述べています。
「ワシントン・ポスト」は新たな道を模索し、今後どのような影響を及ぼすのか、日本の投資家にとっても注目すべき情報となるでしょう。



