エネルギー業界において、アブダビ国立石油会社(Abu Dhabi National Oil Company、ADNOC)が現在、BP(British Petroleum)の貴重な資産に関心を寄せているとの報道が出ています。報道によると、ADNOCはBPが事業分割やユニットの売却を検討する場合に、同社の資産に対する買収を検討している可能性があるとされています。
ADNOCは特にBPの液化天然ガス(LNG)資産に関心を持っているとされていますが、会社全体の完全買収も視野に入れているかもしれません。潜在的な取引は、ADNOCの国際部門であるXRGを通じて行われる可能性が高いと報じられています。
BPとADNOCの間の取引はまだ確定的ではありませんが、アナリストは両社の長年の関係が影響を与えていると指摘しています。特にアブダビやエジプトにおける協力関係は、両社が持つ強固なビジネス基盤に基づいています。元BP CEOのバーナード・ルーニー(Bernard Looney)は、現在ADNOCの管理下にあるXRGの取締役として活動しています。
クイルター・チェビオットのグローバルエネルギーアナリスト、マウリツィオ・カルッリは、ADNOCのBPの資産への興味は「重要な発展」であり、ADNOCが成長し、資金が豊富な企業であることから、ガスセクターへのさらなる進出を図っていると分析しています。
BPは、最近の第1四半期の利益が期待を下回ったものの、戦略的なリセットに向けた取り組みを進めています。最近の株価は安定してきたものの、依然として市場のボラティリティには影響を受けており、今年に入ってから4%以上の下落を記録しています。
また、BPは、昨年発表した戦略的リセットの一環として、2027年までの年間石油・ガス投資を100億ドルに引き上げる計画を立てており、一方で再生可能エネルギーへの支出を削減する方針を示しています。このような状況の中で、BPのディスクリート資産には、多くのエネルギー企業やプライベートエクイティ企業が興味を持つことでしょう。ADNOCとBPの間の取引は、両社の戦略に大きな影響を与える可能性があります。



