金融界の巨頭であるケン・グリフィン(Ken Griffin)氏は、シタデル(Citadel)の創設者兼CEOとして、混乱と変動の激しい時期においては守りに入る戦略が最善ではなく、それが投資家に対して逆効果をもたらすことがほとんどであると述べました。木曜日の夜、シタデルの新入社員向けに行った講演の中で、グリフィン氏は「財務の世界では、守りに入ることでほぼ確実に損失を被っている」と語りました。「ポートフォリオマネージャーが『守りに入る』と言うたびに、赤字になるのを待つことになります。それが次に起こる傾向です」と強調しました。
シタデルが管理する資産は6月1日時点で660億ドルを超え、このような時期においては“安全な取引”とされるものよりも現金がはるかに優れた避難所になると考えていると述べました。「守りに入るのであれば、現金に移行した方が良い。さもなければ、他のすでに避けられている‘安全な取引’にいるだけで、そこでも損失が発生することが多い」と指摘しました。
今年に入ってから、投資家は非常に不安定な市場に直面しており、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の貿易、外交、税政策が引き続き予測不可能であることから、世界規模の地政学的リスクが高まりつつあります。先週のイスラエルによるイランへの空爆により、両国間の対立は4日目に入っています。原油価格の変動は、価格圧力に対して新たな懸念を引き起こしており、これにより連邦準備制度(Federal Reserve)の金利に関する方針が複雑になっています。
グリフィン氏は「私たちは、これまで非常にうまく人々にリスクニュートラルな行動を促してきました。ほとんどの人間はリスク回避的です」と述べ、その上で「財務の世界においてリスクニュートラルに近いほど、利益の観点から見て意思決定がより最適になります」と添えました。このような中、シタデルのインターンシッププログラムは非常に選択的で競争が激しく、今年は10万8千人以上の学生が300以上のポジションに応募しました。シタデルの合格率はハーバード大学やマサチューセッツ工科大学よりも低いとされています。グリフィン氏は「シタデルは、本物のリスクテイカーの文化を創造することにおいて驚くほど成功しており、たまには悪い日を過ごすことを厭わない人々を育ててきました」と語り、「悪い日を過ごさなければ、素晴らしい日も訪れないでしょう」と締めくくりました。



