連邦通信委員会(Federal Communications Commission、FCC)のコミッショナーであるネイサン・シミントン(Nathan Simington)が、2022年3月31日にワシントンD.C.で開催された下院エネルギー・商業委員会の小委員会公聴会に出席した際、FCCに対する監視の重要性が議論されました。
最近、FCCの2名の委員が今週中に辞任する意向を示したことが報じられました。これにより、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は米国の通信規制機関に新たに2名の委員を指名する機会を得ることになります。
共和党のシミントンは、2020年12月にFCCに就任し、トランプ政権の初期にはソーシャルメディア企業の規制を強化する行動を先導していました。彼は本来であれば年末まで任期を延長することが可能でしたが、今回の辞任を決断しました。
一方、民主党の委員であるジェフリー・スタークス(Geoffrey Starks)は、2028年までの任期を残して辞任する予定です。現在、上院はオリビア・トラスティ(Olivia Trusty)の委員任命に関する投票を行っておらず、これによりFCCは一時的に共和党と民主党からそれぞれ1名ずつの委員が残る形となります。
FCCにおける人事異動は、政権交代に伴い一般的に見られる現象ですが、今回はトランプ氏がFCCのブレンドン・カー(Brendan Carr)議長に対して、CBSが放送している免許を取り消すよう圧力をかけている事態も関与しています。この背景には、トランプ氏がCBSニュースに対し、2024年10月のカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏とのインタビュー内容に関して20億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしたことがあります。
カー議長は、CBSとその親会社であるパラマウント・グローバル(Paramount Global)が提起した「ニュース歪曲」規則に違反するとの苦情を却下していますが、パラマウントはスカイダンス・メディア(Skydance Media)との84億ドルの合併承認をFCCに求めています。
なお、FCCの対応期限については、未だ明確な時期は示されていません。最近では、長年「60 Minutes」の製作総指揮を務めたビル・オウエンス(Bill Owens)が、編集の独立性に対する懸念から辞職したことも明らかとなっています。また、カー議長はハリス氏に関する「60 Minutes」のインタビューに対する苦情を再申請した他、ウォルト・ディズニー(Walt Disney)のABCニュースが行った、当時のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領とトランプ氏とのテレビ討論に関する苦情も扱っています。
さらに、カー議長は、ファイバー光通信プロバイダーであるフロンティアコミュニケーションズ(Frontier Communications)を買収するための200億ドルの取引にFCCが承認する前に、ヴァライゾン(Verizon)に対して多様性、平等性、包括性プログラムを見直すよう圧力をかけていました。



