アメリカ国家情報長官タルシ・ギャバード(Tulsi Gabbard)は月曜日に、イギリスがiPhoneの製造元であるAppleに対して、アメリカの市民が保護された暗号データにアクセス可能な「バックドア」の提供を求める命令を撤回することで合意したと発表しました。
ギャバードはXでの声明の中で、彼女が数ヶ月間にわたり、イギリス政府と協力し、ドナルド・トランプ大統領(Donald Trump)や副大統領JD・バンス(JD Vance)とともにこの合意に至ったことを報告しました。
この声明発表時、イギリスの首相キア・スターマー(Keir Starmer)は他の欧州の指導者たちと共にワシントンにおり、トランプ氏とロシアのウクライナにおける戦争問題について協議していました。
ギャバードの声明に対するイギリス政府およびAppleからのコメントは、まだ得られていません。アメリカの議員は、5月にイギリスがAppleに対してユーザーの暗号化データへのバックドアを設けるよう要求したことが、サイバー犯罪者や権威主義政府に悪用される可能性があると指摘しています。
Appleは、自社の暗号化サービスやデバイスにバックドアを設けることは決してないと公言しており、イギリスの捜査権限裁判所(Investigatory Powers Tribunal)でこの命令に異議を申し立てていました。Appleは、イギリスの命令を受けて2月にイギリスのユーザー向けの高度データ保護機能を撤回しました。この機能を利用することで、Apple自身もアクセスできないデータを自身だけで解除できるようにするものでした。
アメリカの政府関係者は、イギリスがAppleに対するバックドアの要求によって、二国間協定を破ったかどうかを調査していると述べています。この件について、ギャバードは2月25日付の議会への書簡で、イギリス政府がアメリカ市民のデータに対する要求を行うことを禁じているCLOUD法に違反したか否かを調査していることを明かしました。
サイバーセキュリティ専門家は、Appleが政府のためにバックドアを構築することを選択した場合、そのバックドアは最終的には見つかり、ハッカーに悪用される可能性があると警告しています。Appleは2016年から暗号化を巡って規制当局と対立しており、アメリカ政府が過激派の疑いがあるiPhoneの解除ツールの構築を強要しようとした際にも問題となりました。



