アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領が主導するもと、アゼルバイジャンとアルメニアの間で画期的な平和合意が締結された。この合意は、数十年にわたる紛争を経て両国の経済的関係を強化するものであり、地域の安定に寄与する重要な一歩と捉えられている。特にトランプ政権にとって、モスクワの影響下にあるこの地域で成功を収めることは大きな意義を持つ。
トランプ大統領はホワイトハウスでの署名式において、両国が長年の敵対状態から脱し、今後友好関係を築くことを強調した。アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領とアルメニアのニコル・パシニャン首相が共に立ち会ったこの場で、両国は戦争の停止、外交関係の樹立、そして互いの領土の尊重を約束した。
この歴史的な合意には、アメリカによる南カフカス地域の戦略的な輸送路の開発権が含まれており、エネルギーやその他の資源の輸出を促進するものだ。さらに、アゼルバイジャンとアメリカの間での防衛協力に関する制限が撤廃されたことで、両国はエネルギー、貿易、技術(特に人工知能)分野での協力を強化するための個別の合意も結んでいる。
両国の指導者らは、トランプ大統領にノーベル平和賞を推薦する意向を表明しており、アリエフ大統領は「トランプ大統領こそが平和賞にふさわしい」と述べている。トランプ大統領は、再任後の初期において自らを国際的な平和仲介者として位置づけることを目指し、これまでカンボジアとタイ、ルワンダとコンゴ民主共和国、パキスタンとインドとの間での和平合意も成立させている。しかし、ウクライナにおけるロシアの戦争や、ハマスとの紛争を抱えるイスラエルの問題は未だ解決を見ていない。
この合意は、冷戦終結以降、ロシアの周辺地域で凍結された紛争の終結を示すものであり、中東とヨーロッパを繋ぐエネルギー生産地域での変革をもたらす可能性を秘めている。アルメニアは、アメリカに対してこの輸送路に関する独占的な特別開発権を長期間与える計画を明らかにした。
また、ワシントンに拠点を置く人権団体「Freedom Now」は、アゼルバイジャンで拘束されている375人の政治囚の解放を求めるようトランプ政権に促している。一方で、アゼルバイジャンは自国の人権記録に対する西側の批判を「受け入れがたい干渉」として拒否している。



