インドの消費者物価指数(CPI)は、8月に2.07%に上昇し、アナリストの予測に沿った結果となりました。この数値は、政府が金曜日に発表したデータに基づいており、前年同月比では2.1%が予想されていました。7月の物価上昇率は1.55%と、2017年6月以来の最低水準でした。
インドでは、CPIの上昇にもかかわらず、インフレ率は中央銀行であるインド準備銀行(RBI)が目指す2%から6%の範囲に近い状態にあります。RBIは先月、2026年3月で終了する会計年度のCPI成長率を3.1%と予測しています。これにより、金融政策の緩和が可能となり、米国の関税が国内経済に及ぼす影響を軽減する余地が生まれます。
8月、米国はインドからの輸入に対して25%の追加関税を課しました。この追加関税はロシアからの石油購入に関連しており、すでに課せられていた関税と合わせて最大50%に達します。これにより、インドの年度GDP成長率は0.6ポイント引き下げられるとゴールドマン・サックスの報告が示しています。
政府は、輸出に対する打撃を補うため、国内消費を促進するための広範な物品税(GST)の引き下げを9月3日に発表しました。消費財や自動車、農産物の価格は、9月22日からの税率引き下げが施行されることで安くなる見込みです。
シティのエコノミストは、2026年3月終了の会計年度において、インド世帯の購買力がGDPの0.7%から0.8%向上すると予測しています。また、GSTの引き下げが消費者に完全に転嫁されれば、インフレを1.1ポイント引き下げる見込みです。
タタ・モーターズ(Tata Motors)やマルチ・スズキ(Maruti Suzuki)などの主要な自動車メーカーは税制改正の恩恵を顧客に還元する形で価格を引き下げる意向を示しています。Hindustan Unileverやコールゲート・パルモリーブ(Colgate-Palmolive)、マース・ウィグリー(Mars Wrigley)などの消費財企業も価格の引き下げを検討中です。
先月、インド経済は製造業、建設業、サービス業の成長を受けて、4月から6月までの四半期において年間7.8%の成長を達成しました。名目成長は鈍化の兆しを見せているものの、低いインフレ率により成長率はより強く見えるとの見方がエコノミストから出ています。



