米国連邦準備制度理事会(Federal Reserve)のリサ・クック理事と、米国のドナルド・トランプ大統領の間での法的争いが注目されています。トランプ大統領は、クック理事に対する解任の是非を巡る訴訟が進行中である中、同理事が自らの解任を一時的に止めるよう求める要請を拒否するよう求めました。
この件に関して、連邦準備制度も裁判所に申し立てを行い、クック理事の解任を一時的に阻止する要請について、詳細な議論は行わない方針を示しています。しかし、同時に、裁判官ジャイア・コブに対して迅速な裁定を求め、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所での対立を早期に解決するよう呼びかけています。
クック理事の弁護士アッベ・ローウェルは、法廷でのセッションの開始時に、現状を維持することを求め、一方でトランプ大統領の弁護士やその他の関係者が大統領が理事を解任する権限を持つかどうかについて議論を展開することを求めました。コブ裁判官は、今回の訴訟が重要な法的問題を提起していることを認めています。
トランプ大統領の弁護士は、クック理事の訴訟の成功可能性は低いとし、連邦法に従って理事を解任する権限は大統領に委ねられているとの主張をしています。もしトランプがクックを解任できれば、彼が指名する理事が多数を占めることになり、金利を設定する権限を持つ理事会の影響力を強化することとなります。トランプ大統領は、金利を引き下げるべきだと長らく批判しており、それが米国経済を活性化し、連邦政府の負債管理コストを削減すると主張しています。
クック理事は、トランプ大統領が彼女を解任する正当な理由を持っていないと訴えています。トランプ大統領は、連邦住宅金融庁(Federal Housing Finance Agency)のビル・プルテ理事が、彼女が連邦準備制度に就任する前に、アトランタとミシガン州アナーバーにある二つの住宅について関わった書類に関連して、モーゲージ詐欺を行ったとの告発を行っていることを理由に挙げています。
プルテ理事は、マサチューセッツ州ケンブリッジにある高級コンドミニアムに関連するモーゲージに関して、クック理事への新たな刑事告発を行ったことを明らかにしました。これに対して、ローウェル弁護士は、プルテ理事の新しい告発が「政治的操作が背後にある明らかな誹謗中傷キャンペーン」であると批判し、クック理事の連邦準備制度での役割に関連性がないと主張しています。
この訴訟は、トランプ大統領、連邦準備制度理事会、そして連邦準備制度のジャローム・パウエル議長を対象としています。連邦準備制度は、裁判所が出すいかなる命令にも従う意向を表明しました。この紛争は最終的に最高裁判所によって解決される可能性が高いと考えられており、今後の展開が期待されます。



