フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、進行中の米中間の対立の影響を受けないよう、ヨーロッパとアジアの連携を強化する必要性を訴えました。シンガポールで開催されたシャングリラ対話の年次防衛フォーラムにおいて、インド太平洋地域の首相や防衛大臣に向けて、「新たな連携」を構築するよう促しました。これは、米国と中国の競争から生じる「制約や副作用」に対抗するためのものです。
マクロン大統領は、フランスが米国の友人であり同盟国であり、また時には競い合いながらも中国と協力していることを強調しつつ、自国の利益を厳格に守る姿勢が重要であると述べました。彼は、「二つの超大国の分裂が世界にとって主なリスクである」と強調しました。
この演説は、マクロン大統領のベトナムおよびインドネシアへの地域訪問の一環として行われ、フランスの防衛協力を他国と強化することを目的としています。特に、米中間貿易戦争や北京との地政学的対立が続く中で、フランスが「コラテラルダメージ」になることを懸念しています。
ジャカルタでは、マクロン大統領とインドネシアのプラボウォ・スビアント大臣が、ラファール戦闘機やスコルペーヌ潜水艦の購入を含む防衛協定に署名しました。また、フランスとベトナムは、エアバスの航空機や防衛に関する契約を含む、総額100億ドルを超える取引を結びました。
マクロン大統領は、ASEAN諸国とヨーロッパが新たな関税政策の不確実性や貿易の規則に基づく秩序の終焉に影響を受けていることを警告し、これが各国経済や防衛努力の資金調達能力に影響を与えると指摘しました。
また、マクロン大統領は、アジアとヨーロッパが共通の利益を持っており、「改変主義的」な国々の支配を防ぎ、グローバルな秩序の崩壊を防ぐ必要性を述べました。特に中国の南シナ海における行動について言及し、「ロシアがウクライナの領土の一部を制限なく占有することが許容されるなら、台湾で何が起きるかを考えてみるべきだ」と警告しました。
中国とフィリピンは近年、領有権を巡る対立が続いており、マニラは1999年に意図的に座礁させた老朽化した軍艦に小規模な部隊を配備しています。中国は南シナ海のほぼすべてをその水域と主張していますが、国際法の下での中国の主張には根拠がないとの2016年の国際仲裁裁判所の判決を認めていません。さらに、台湾に関しても、中国は自国の領土として主張しており、民間政府の周囲で軍事行動を強化しています。
今年のサミットには、中国の国防大臣である董軍(Dong Jun)は出席せず、人民解放軍の国防大学から低位の代表が派遣されました。昨年のシャングリラ対話において、中国の国防大臣は、「台湾を中国から分離しようとする勢力は自己破壊の運命を迎える」と警告し、台湾問題は「私たちの核心的な利益の核心」であると強調しました。



