メルク(Merck & Co.)は、2025年4月8日(火)にニューヨーク証券取引所(NYSE)で、2027年末までに30億ドルのコスト削減を行うと発表しました。このコスト削減は、新製品の投入や同社の薬剤パイプラインを支援するために全て再投資されるとのことです。
この数年間にわたる取り組みは、2028年に同社の主力がん治療薬キイトルーダ(Keytruda)の特許が切れることにより予想される収益損失を相殺する準備として行われています。また、製薬企業は、ドナルド・トランプ大統領が計画している米国への医薬品輸入に対する関税に備えており、メルクを含む他の企業もアメリカ国内での製造拠点を拡大するために数十億ドルを投資する必要に迫られています。
メルクのCEOロブ・デイビス(Rob Davis)は声明の中で、「本日、多年にわたる最適化イニシアティブを発表しました。これにより、我々のビジネスのより成熟した分野から新しい成長の推進力へと投資とリソースを再配分し、ポートフォリオの変革をさらに進め、次の生産的で革新的な成長の章を推進します」と述べています。
これに伴い、メルクは7月に新たな再構築プログラムを承認し、特定の管理職、営業職、研究開発職を削減することとなりました。また、グローバルな不動産面積の縮小や製造ネットワークの見直しも進めており、再構築プログラムにより年間約17億ドルのコスト削減を見込んでいます。
メルクは、再構築プログラムに関連する税引前コストが総額約30億ドルに達すると予想しており、第二四半期には649百万ドルの費用が計上されました。
さらに、メルクは第二四半期の収益がウォールストリートの予測を下回ったことを報告しました。キイトルーダの売上は成長を示したものの、HPVによるがん予防ワクチンであるガーダシル(Gardasil)の中国における売上は厳しい状況が続いています。メルクは2月に、2025年中頃まで中国へのガーダシルの出荷を停止する方針を発表しており、この日は需要が依然として低迷していることが影響しています。
メルクは通年のガイダンスを修正し、2025年の調整後1株当たりの利益(EPS)を8.87ドルから8.97ドルの間と予想しています。これ以前の予測は8.82ドルから8.97ドルでした。また、同年の収益は643億ドルから653億ドルの範囲で見込んでおり、以前のガイダンスの範囲からも修正されています。
第二四半期のメルクの業績は次の通りです。
・調整後1株当たり利益: 2.13ドル(予想の2.01ドルと比較)
・収益: 158.1億ドル(予想の158.9億ドルを下回る)
メルクのガイダンスには、トランプ政権下での関税の影響として推定される2億ドルが含まれており、特に米国と中国間の課税が大きな要因となっています。また、最近発表されたベロナファーマ(Verona Pharma)との買収については、影響は含まれていません。
この四半期の純利益は44.3億ドル、1株当たり1.76ドルで、前年同期の54.6億ドル、1株当たり2.14ドルと比較されています。



