サンフランシスコで毎年開催されるプライドパレードは、LGBTQ+コミュニティの擁護や社会正義を象徴する重要なイベントとなっています。しかし、MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグは最近、コミュニティに対して静かな姿勢を貫いています。フィンテック企業の代表的な存在として妥当な関係を築いていたMetaとSFプライドとの関係は、昨年から大きく変化しました。
2015年、SFプライドは、Facebook(現在のMeta)に対し、法的な名前を使用するポリシーに基づき、パレードへの参加を禁止しました。この方針は、トランスジェンダーのユーザーなどにとって問題視されていました。これに対してFacebookは、ポリシーを見直し、ザッカーバーグはSFプライドに参加したいと直接連絡しましたが、その関係は次第に疎遠になっています。
2024年のパレードでは、Metaは参加しないことを正式に表明しました。SFプライドのエグゼクティブディレクターであるスザンヌ・フォードは、ザッカーバーグや同社の関係者からの連絡はないと明言し、LGBTQ+コミュニティに対する支援が薄れつつあることを指摘しています。
他にもアニハイザー・ブッシュやコムキャスト、日産など、多くの企業が長年支援してきたSFプライドから距離を置くようになり、フォード氏はこの変化を憂慮しています。特に、サンフランシスコはテクノロジー業界の中心地であり、同時にアメリカのLGBTQ+コミュニティの発祥地でもあることから、その影響は深いと述べています。
また、テクノロジー企業がLGBTQ+の問題に関して発言を控える背景には、トランプ大統領や他の政治家からの批判が影響していると、人材認定機関HRCIのCEOであるエイミー・デュフレーンは指摘しています。企業がDEI(多様性、公平性、包括性)といった問題から距離を置く理由は、リスクを避けるためです。
フォード氏は、Metaが今後、LGBTQ+コミュニティやSFプライドとの関係を再構築する可能性はあると述べつつも、決定は同団体の取締役会が行うべきだとも語っています。
「変化する余地を残さなければなりません」と彼女は強調し、企業がコミュニティとの価値観を一致させ、対話に応じることを期待しています。
サンフランシスコのLGBTQ+プライドパレードは、地域の文化的および社会的アイデンティティの一部であり、その支援が失われつつある現状は、多くのコミュニティメンバーにとって大きな衝撃となっています。



