現在、ナイキ（Nike）社は、業績が厳しい状況に直面しているにもかかわらず、販売と利益の減少が緩やかになると予想しています。この背景には、米国のドナルド・トランプ大統領が多くの国に課す輸入関税の影響があることが指摘されています。
ナイキの財務責任者マット・フレンド（Matt Friend）によると、現在の2026会計年度では、輸入関税から発生するコストが約10億ドル（約1,400億円）に達すると見込んでいます。このコストに対しては、供給チェーンの調整や価格の引き上げを通じて、時間をかけて完全に緩和していく方針を示しました。特に、中国からの供給は現在約16％を占めており、2026会計年度末には高い一桁の割合に削減する意向を示しています。
過去の四半期ではナイキは大幅な損失を報告しており、特に在庫の処分と販売戦略の見直しによる影響が強く出ています。この四半期の利益は前年同期比で86%減少し、売上高は約12%減の111億ドルに落ち込んでいます。これに対し、ナイキは投資を続けながら、ビジネスの安定化に注力しています。
最新の四半期報告では、ナイキの株価は一時下落したものの、カンファレンスコールの後には約10%の上昇を見せました。全ての地域で売上が減少したものの、特に北米市場では予想を上回る4.7億ドルの売上を記録しています。中国市場については、競争が激化しており、回復には時間がかかるとの見解が示されています。
ナイキのCEOイリオット・ヒル（Elliott Hill）は、今後の店舗展開において、アリツィア（Aritzia）やアーバン・アウトフィッターズ（Urban Outfitters）などの小売業者との新たな提携を強調し、2019年以降初めてAmazonでの販売を再開することを発表しました。これは、ナイキが造成してきた新たな市場戦略の一環であり、特に女性市場へのアプローチを強化する狙いがあります。女性は消費の中で重要な役割を果たしており、ナイキは競争が激化する中で女性顧客の獲得に注力しています。
現在、ナイキでは新たな女性向け製品やコレクションの発売計画も進めており、特にアジア市場での競争力を高めるための戦略が重要です。これにより、ナイキは新たな成長のチャンスを模索し続けるでしょう。
