最近、メキシコシティのトレンディなローマ・ノルテ地区で、旅行者に対する抗議活動が増加しています。これは、デジタルノマドや外国人観光客の急増によって、地元住民が生活費の高騰を実感しているからです。観光の回復はパンデミック前の水準を超えており、居住者たちは自らの声を上げるために抗議行動を選ぶようになっています。
この変化を受け、オランダのヨーロッパ観光未来研究所のシニアリサーチャー、ベルナデット・パップ氏は、住民が抗議活動を通じて公衆の啓発を促し、メディアの注目を集め、政府に行動を促す圧力をかける様子を指摘しています。バルセロナやアムステルダムはその例です。また、住民は観光政策の決定権者を特定しづらく、自らの不満が抗議行動を助長していると述べています。
観光が過剰になると、住民の反応は様々に変化します。最初は容認し、不安を表明し、最終的には対立的な立場を取ることもあります。スイス・EHLホスピタリティビジネススクールの客員教授タチヤナ・ツカノバ氏によれば、観光客に対する明確な敵意が生まれることもあります。例えば、2024年7月にバルセロナで行われた抗議活動では、観光客に水鉄砲をかけたり、ホテルの入口を封鎖したりしました。
抗議行動は短期的には観光客に心地よくない印象を与えることがありますが、長期的な影響は証明されていません。2024年の抗議活動後も、2025年の観光客数は前年に比べて4.1%増加しました。このことは、抗議が住民の問題への関心を高め、旅行者の行動に変化をもたらす可能性があることを示唆しています。
観光業の専門家たちは、地元コミュニティの声を観光開発に反映させることの重要性を強調しています。ロンドン大学のリオネル・ソール氏は、短期賃貸の制限や観光税の引き上げが地域社会の利益につながる可能性があると指摘しています。観光開発において、地元住民が発言権を持つことができれば、抗議行動に頼る必要がなくなるかもしれません。旅行者にとっては、多少の不便さはあるものの、地域の人々にプラスの影響を与える「マネジメント観光」の必要性が求められています。



