2025年9月1日、天津での上海協力機構(SCO)サミットに向けて、インドのナレンドラ・モディ首相、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、中国の習近平主席が談笑する様子が話題を集めました。この写真は、単なるリーダーたちの軽やかな交流のように見える一方で、分析者たちはこの背後にある微妙な権力の動きや競争、そして古くからの疑念が影を落としていると指摘しています。
インドの元中国大使であるゴータム・バンバワレ氏は、両国の関係について「ドラゴンと象はまだ踊っていない。現在、互いに対峙している状態で、関係が進展する可能性を探っているに過ぎない」と述べています。インドと中国の間の国境問題は、2020年の衝突以降未解決のままで、北京との近いパートナーシップを持つパキスタンの影響も、両国関係の進展を困難にしています。
今回のSCOサミットは、組織の規模と野心が拡大している一方で、軍事問題にはあまり焦点を当てていないとの見解もあります。ユーラジアグループのジェレミー・チャン氏は、最近のウクライナやガザにおける衝突に対してSCOの姿勢が消極的であったことを指摘しています。
また、このサミットの開催時期は特に注目に値します。かつてのアメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプが関税を引き上げ、グローバル市場を不安定にさせている中で、中国はSCOを利用してグローバル・サウスへのアプローチを強調しています。チャン氏は、トランプの動きがこのサミットに新たな活力をもたらす機会を与えていると述べています。
インドにとって、今回のサミットでの印象は重要です。モディ首相の習主席との会談は、インドがアメリカやその同盟国との関係を深めつつも、中国及びロシアとも対話を続ける準備があることを西側諸国に思い出させるものでした。ただし、インドがSCOの軍事パレードを欠席したことは、関係の改善に限界があることを示しています。
サミットの核心には「多極性」という議論があり、インドと中国でその定義が異なることが強調されました。中国は、アメリカの支配を減少させるシステムとして多極性を捉えており、アジアにおける自国の影響力を拡大する機会としています。一方、インドは多極性をより均等に影響力が分散された状態と見なしています。
ロシアにとってSCOは、プーチン氏が防戦一方でない数少ない国際プラットフォームの一つであり、西側の制裁にもかかわらず、アジアの影響力のあるパートナーとの関係を強調しています。この北京での写真は、表面的には調和を示すものですが、実際にはその背後に複雑な現実が隠されています。



