韓国のメモリーチップメーカーであるSK Hynixは、次世代の高帯域幅メモリーチップ(HBM)を量産する準備が整ったと発表しました。このニュースは、同社の株価を急騰させる要因となりました。
HBMは、人工知能(AI)コンピューティング用のチップセットで使用されるメモリの一種であり、グローバルなAIの巨人であるNvidiaのチップにも搭載されています。NvidiaはSK Hynixの主要な顧客であるため、その影響は大きいです。
SK Hynixは、今年の初めに顧客へのHBM4チップのサンプル出荷を開始し、競合のSamsung ElectronicsやMicron Technologiesを凌ぎ、業界でのリーダーシップを強化しようとしています。
同社は、HBM4の内部検証と品質保証プロセスを完了し、大量生産に入る準備が整ったと発表しました。SK HynixのHBM開発責任者であるJoohwan Cho氏は、”HBM4の開発の完了は業界にとって新たなマイルストーンとなる”と述べています。
HBM4は、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)の第六世代であり、個人用コンピュータ、ワークステーション、サーバーなどで使用されるメモリです。SK Hynixの最新のHBM4製品は、前世代に比べて帯域幅が倍増し、電力効率が40%向上しています。
特に、HBM4はNvidiaの次世代Rubinアーキテクチャに必要な主要なAIメモリチップと見込まれています。アジアを拠点とする半導体投資会社TriOrientの副社長であるDan Nystedt氏は、”SK HynixはNvidiaの重要なサプライヤーであり、この発表により競合に先んじていることが示された”と語っています。
Samsung ElectronicsとMicronは、HBMにおいてSK Hynixに追いつくのに苦労していますが、Micronは顧客へのHBM4製品のサンプル出荷を開始しており、SamsungもNvidiaによるHBM4チップの認証を取得しようとしているとのことです。
競争環境が変化する中でも、SK Hynixは先行し続け、2026年までにHBM市場の約50%を占有する可能性があるとCounterpoint Researchの調査ディレクターであるMS Hwang氏は予測しています。SK Hynixの株価は、チップ発表後に7%以上上昇し、2000年以来の高値に達しました。2025年には、Samsung ElectronicsとMicronの株価もそれぞれ40%、80%以上の上昇を見せています。
SK Hynixは、HBM需要の増加により、2024年比で全体の売上の77%を占める記録的な営業利益と売上を報告しました。同社は、2024年に比べて年内のHBM売上を倍増させ、AIからの需要は2026年まで成長を続けると予想しています。



