ソフトバンクグループ株式会社(SoftBank Group Corp.)の会長兼CEOである孫正義(Masayoshi Son)氏は、今後の人工知能(AI)分野に対する展望を示しながら、「私たちはOpenAIに全力投資する」と発表しました。今年、ソフトバンクはOpenAIへの投資を増やし、5000億ドル規模の「スターゲートプロジェクト」にも参加しています。
孫氏によれば、ソフトバンクのOpenAIに対する総投資計画は約4.8兆円(約332億ドル)に達する見込みです。OpenAIが未上場かつ利益を上げていない企業であるにもかかわらず、この投資に踏み切る理由として、孫氏は「OpenAIが最終的に上場し、世界で最も価値のある企業になると信じている」と述べました。ただし、こうした企業への投資には勇気が必要であるとも述べています。
孫氏はまた、2019年以前にOpenAIのCEOであるサム・アルトマン(Sam Altman)氏からソフトバンクに100億ドルの投資を依頼された際、実際にその提案に前向きに応じていたことを明かしました。当時はビジョンファンド(Vision Fund)のパフォーマンスによる資金的余裕があったため、真剣に考えていたとのことですが、最終的にはマイクロソフト(Microsoft)が選ばれました。
マイクロソフトはOpenAIの研究や製品、開発者向けプログラミングインターフェースのための独占的なコンピューティングパワーを提供する契約を結びましたが、今年初めにはその独占的地位を失ったとの報告があります。最近の報道によると、マイクロソフトはOpenAIの利益法人化に向けた再構築計画を承認していない状態で、その関係が難しい状況にあるようです。
この件につき、孫氏はアルトマン氏が最初のパートナーとしてソフトバンクを選ぶべきだったと示唆しましたが、当時のソフトバンクは規模が小さく、マイクロソフトにはグローバルなサプライチェーン、技術者、ブランドの価値があったことを指摘しました。
さらに、ソフトバンクはOpenAIへの300億ドルの最新資金調達ラウンドでの出資割合を、2023年12月31日までに利益法人に再構築しない場合、200億ドルに削減する可能性があるとも発表しています。しかし、孫氏はOpenAIへの信念がより強まったと述べ、マイクロソフトとの関係にかかわらず、ソフトバンクは今後もOpenAIとの関係を深めていくと強調しています。
孫氏のOpenAIへの期待は、ソフトバンクを「人工超知能」(ASI)の中心にしたいとの願望にも基づいています。彼はASIが人間より1万倍も賢いAIだと述べ、ソフトバンクが今後10年間でこの分野の最大のプラットフォームプロバイダーとなり、ASI時代の産業の「オーガナイザー」として機能することを目指しています。2016年に取得した英国の半導体会社アーム(Arm)とのパートナーシップが計画において重要であるとしています。
また、ソフトバンクは今年、アメリカのチップデザイナーであるアンペア(Ampere)を65億ドルで買収するなど、AI関連の大規模な投資を行っています。最近の報道によれば、ソン氏はアメリカにて1兆ドル規模の産業複合体を設立し、AIを開発することを検討しているとされています。



