台湾の半導体市場において、アメリカが提案した生産比率の変更について具体的な動きが見られません。台湾の主要貿易交渉担当者である鄭麗君副首相は、現地メディアの取材に応じて、アメリカが提案した「50対50」の半導体生産に関する議論は行われていないと明言しました。
この発言は、アメリカでの貿易協議から帰国した際に行われたもので、関税率の引き下げや追加関税の免除、台湾からの輸出に対する課税の軽減が主な議題であったと述べています。台湾は現在、相互関税率として20%に直面しており、この解決に向けた交渉が優先されている状況です。
アメリカ側では、商務長官のハワード・ラトニックが、台湾からの依存を減らすために「50対50」の半導体生産分配を提案していましたが、実際にはアメリカの97%の半導体需要が台湾製によって満たされています。ラトニックは、メーカーとして自主性を高める必要性を強調しており、アメリカ国内での半導体製造能力の向上を目指していることを示しています。
また、ドナルド・トランプ前大統領も台湾の半導体産業の影響力について言及しており、台湾がアメリカの市場を「盗んでいる」と非難していました。そのため、ラトニックの提案は台湾の政治家たちによって強く批判されています。特に、最大野党である国民党の主席、朱立倫はこれを「搾取と略奪の行為」と呼び、台湾の半導体製造大手である台湾半導体製造股份有限公司(TSMC)を守るべきだと主張しています。
台湾は、世界の半導体生産において重要な役割を担っており、その位置づけは中国からの直接的な軍事行動からの防御に寄与していると考えられています。この背景には「シリコンシールド」と呼ばれる理論があり、台湾の安全保障との関連性が指摘されています。
ただ、ラトニックは「シリコンシールド」の概念について懐疑的な見解を示し、台湾とアメリカ間の半導体生産の均衡を持つことが安全を高めるとの考えを述べています。自国の領土と見なす中国との緊張関係の中で、台湾の主張は強固ですが、余波として技術セクターの基盤が損なわれるのではないかとの懸念も存在しています。
このような動きは、アジア地域の経済や技術動向に影響を与える可能性があるため、日本の投資家たちにとっても注視する必要があるでしょう。


