テスラ(Tesla)のCEO、イーロン・マスク(Elon Musk)が、米国政府の特別顧問としての任期を終了したことに関連し、トランプ大統領(Donald Trump)との間で激しい対立が発生しました。マスク氏は5月30日、ホワイトハウスでの会見の際、トランプ氏の偏向した予算案について強い批判を表明しました。この対立は、SNSを通じてお互いにののしり合う事態に発展し、テスラの株価は急落しました。
特に、テスラの株価は木曜日に14%も下落し、15年の上場歴の中で最大の一日で約1520億ドルの価値を失う結果となりました。マスク氏自身の資産も、ブルームバーグのビリオネアインデックスによると340億ドル減少しました。テスラはトリリオンダラークラブからも脱落し、企業としての将来が危ぶまれています。
トランプ政権の怒りは、テスラへの今後の規制、捜査、政府支援、関税免除の決定に多大な影響を及ぼす可能性があります。テスラは第1四半期の収益が前年同期比で9%減少し、自動車収益は20%も減少しています。これは、中国の低価格の電気自動車(EV)メーカーからの競争激化と、トランプ氏の政治活動に対する消費者の反発が影響しています。
公的な立場の関係者からは、テスラが直面する「危機」を解決するためには、CEOが週に40時間以上働く必要があるとの声が寄せられています。ニューヨーク市の監査役、ブラッド・ランダー(Brad Lander)氏は企業のガバナンスが弱体化していることを指摘し、マスク氏の行動がテスラの未来を脅かしていると述べています。その一方で、テスラは新しいモデルのEV投入に失敗しており、中国の競争相手にシェアを奪われている状況です。
マスク氏は、投資家に対してテスラのコアビジネスを無視し、自動運転車両や人型ロボットに目を向けるよう促ていますが、そこでも競争に遅れを取っています。自動運転サービスの小規模な開始が発表されているものの、消費者は「サイボーグタクシー」やロボバンが登場するのはしばらく先の話になるとの見方が強まっています。
エネルギー業界におけるこの変化がテスラの価値やビジネスモデルにどう影響するか、今後も注視する必要があります。マスク氏がトランプ氏との関係に終止符を打ったことで、テスラとホワイトハウスの関係はより複雑化しており、企業としての安定性に新たな課題が浮かび上がっています。



