インドの外務大臣S. ジャイシャンカール氏は、BRICS加盟国がニューデリーとの貿易不均衡に対処するよう訴えました。米国のドナルド・トランプ大統領による関税が影響する中、ヴァーチャルサミットに参加したジャイシャンカール氏は、インドの「最大の貿易赤字はBRICSのパートナー国とのものである」と述べました。
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカから成る国際ブロックで、トランプ大統領はこのグループが「反米政策」を追求していると非難しています。特にブラジルとインドはトランプの関税によって大きな打撃を受けており、関税は50%に達しています。
ジャイシャンカール氏は、首相ナレンドラ・モディ氏が不在の中、インドを代表して発言しました。モディ氏は先週、中国で開催された上海合作機構サミットに出席し、米国との関係が厳しい時期において北京との関係が温暖化していることを示していました。
BRICS会議におけるインドの主張は、主催国ブラジルの「米国の脅迫」の主張や、中国の習近平国家主席が警鐘を鳴らした「覇権主義、片務主義、保護主義」とは対照的でした。習主席は「貿易戦争や関税戦争が世界経済を深刻に混乱させ、国際貿易ルールを損なう」とし、BRICS加盟国に団結して行動するよう呼びかけました。
中国からインドへの輸入は近年増加しており、2025年度の貿易赤字は過去最高の992億1千万ドルに達しています。今年8月時点で、中国はインドとの間に777億ドルの貿易黒字を記録しました。このデータは、中国の税関が発表したもので、昨年同時期より16%の増加を示しています。
ジャイシャンカール氏は「BRICS自体が加盟国間の貿易流れを見直すことから模範を示すことができる」とし、貿易赤字解消に向けた「迅速な解決策」を求める意向を示しました。ニューデリーとモスクワ間の二国間貿易も2025年度には687億ドルに達し、インドの石油輸入増加が590億ドルの赤字に寄与しています。
インドと米国の関係にはポジティブな兆しが見えています。米国はインドに対して50%の高関税を課しており、中国関連の30%と比べても高い水準です。このため、ニューデリーとワシントンの関係は悪化しています。両国の貿易交渉は停滞しており、ワシントンはロシア産石油の購入を制限しつつ、インドが農業や乳製品分野で保護主義政策をとっていると非難しています。
トランプ大統領は、インドが米国からの輸入に対して関税をゼロにする提案を行ったが、その提案が交渉の遅れによるものであったと不満を漏らしています。専門家は、トランプ政権が20年以上続いたインドとの関係改善を一変させたと指摘していますが、両国は対立点を解消しようとする動きも見せています。
トランプ大統領は「インドと米国は特別な関係であり、心配はない」と述べ、モディ氏を「素晴らしい首相」と称賛しました。モディ氏はそのコメントに対し、ツイッターで「トランプ大統領の感謝の意と我々の関係に対するポジティブな評価を深く感謝し、完全に共鳴します」と応じました。
このように、モディ氏とトランプ氏の和解の言葉は、二国間関係にはまだ緊張があるものの、インドと米国の関係の構造的基盤は堅固であることを反映しています。インドは米国を重要な戦略的、技術的、そして防衛のパートナーと見なしており、ワシントンは中国の台頭に対抗するためにインドを重要視しています。



