現在、EU(欧州連合)と米国との間での貿易協定が近づいている可能性がありますが、ブリュッセル(Brussels)は依然として報復措置を準備している状況です。
現在、EUから米国への輸入に対しては、約4.8%の関税が含まれる15%の基準関税率が想定されています。ただし、交渉の進行状況に応じて、特例措置も検討されているとのことです。この背景には、8月1日までにEUからの輸入品に30%の関税が課されるという厳しい期限があります。この30%の関税は、トランプ(Trump)大統領が以前に示唆していた50%よりは低いものの、EUおよび米国のビジネスや経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。
Berenbergのチーフエコノミストであるホルガー・シュミーディング(Holger Schmieding)氏は、「トランプが以前に言及した30%や50%という非常に高い追加関税のリスクと比較すれば、これはポジティブな結果になるだろう」と指摘しています。
しかし、EUの外交官は、条件が整っていないことを強調し、「最終決定はトランプ大統領の手の中にある」と伝えています。別のEUの公式も、米国との合意が近づいているという報道について「楽観的すぎる」と述べ、具体的な進展があるまで交渉は続くとしています。
ホワイトハウスの副報道官であるクシュ・デサイ(Kush Desai)氏は、15%の関税率の可能性について問われ、「貿易協定に関する議論は単なる憶測だ」との見解を示しました。トランプ大統領は、取引に関して急な心変わりをすることで知られており、最近の例として日米貿易協定に関する会議での変化が挙げられます。
一方、EUは米国の関税が来週施行された場合に備えて、報復措置の計画を進めています。これには、米国製品に対する返報関税が含まれ、93億ユーロ(約1094億円)相当の品目リストが統合される見込みです。また、EUは「対抗措置の手段」として知られる「核オプション」を導入する可能性についても広く議論されています。これが施行されると、米国の供給業者はEU市場へのアクセスに制限がかかることになります。フランスは、合意が得られない場合には「対抗措置の即時設立」を求める唯一の国とされていますが、EUの外交官によると、広範な多数決によってこの設立が支持されているとのことです。



