アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は、2025年5月30日にペンシルベニア州ウェストミフリンにあるU.S. Steel – Irvin Worksを訪れ、日米のパートナーシップを祝う中で、名前入りの金色のヘルメットを受け取りました。この訪問は、U.S. Steelと日本の新日鉄住金(Nippon Steel)との合併を承認する大統領令が出されたことを受けたものです。両社は、アメリカ政府との国家安全保障に関する合意に署名した後、この合併を進めています。
この国家安全保障の合意により、アメリカ政府には「ゴールデンシェア」が付与され、ガバナンス、国内生産、貿易に関連する特定のコミットメントが求められます。しかし、アメリカ政府がこのゴールデンシェアを通じてどのような権限を持つかについては、具体的な説明は未だ明らかにされていません。
U.S. Steelと新日鉄住金は、「パートナーシップに必要なすべての規制の承認が得られ、パートナーシップは迅速に最終化される見込みです」との声明を発表しています。
国家安全保障の合意からは、新日鉄が2028年までに110億ドルの新規投資を行うことが求められ、最初の投資は2028年以降に完成予定のグリーンフィールドプロジェクトに向けられます。トランプ大統領は、ゴールデンシェアが「完全なコントロール」を大統領に与えると述べていますが、具体的な詳細については触れられていません。
2024年の大統領選挙を前に、トランプは新日鉄によるU.S. Steelの売却に対して反対の立場を取っていましたが、就任後はその態度を和らげ、4月には合併の再審査を指示しました。ジョー・バイデン前大統領は、国家安全保障上の懸念を理由に売却を阻止していました。
トランプはこの合併を「パートナーシップ」と表現し、U.S. Steelは「アメリカがコントロールしている」との旨を伝えていますが、これは投資家や労働組合の指導者たちの間で混乱を招いています。合併の合意に基づき、U.S. Steelは新日鉄北米の「完全子会社」となることが、証券取引委員会への4月8日の申請で明らかにされています。
トランプ大統領は、U.S. Steelの労働者に対し、新日鉄が過去10年間にわたりU.S. Steelの高炉をフル稼働させることを約束し、解雇はなく、アウトソーシングもないと保証しました。また、労働者には5,000ドルのボーナスが支給されると発表しています。さらに、トランプはU.S. Steelの労働者に対し、鉄鋼輸入への関税を50%に倍増することを発表し、この関税は6月4日から発効します。



