米国のドナルド・トランプ大統領は、メディア界の巨頭ルパート・マードックに対して、エプスタイン事件に関する『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事に関し、100億ドルの名誉毀損訴訟を提起しました。この訴訟は、フロリダ州の連邦判事ダリン・ゲイルズが担当することになります。彼は過去にトランプが元弁護士マイケル・コーエンに対して提起した契約違反訴訟を扱った経歴があります。
トランプは、2023年にマイアミの米国地方裁判所に提出した500百万ドルの訴訟を自主的に取り下げました。これは、ゲイルズ判事がコーエンの弁護士による尋問に対し、トランプが宣誓のもとで質問に答える必要があると通知した直後の決定でした。
今回のマードックに対する訴訟の提起により、ゲイルズ氏は再度トランプの尋問をスケジュールする可能性があり、トランプはマードックの法的チームからの宣誓下での質問への対応を考慮する必要があります。その質問は、エプスタインや彼の有罪判決を受けたサポーターであるギレーヌ・マクスウェルとの過去の友人関係に関するものかもしれません。
ゲイルズ判事は、月曜日に無作為にこの訴訟の担当として割り当てられました。彼は、2014年に当時のバラク・オバマ大統領によって指名され、上院の98対0の賛成票で同意を得たことで、初の公然のゲイ・アフリカ系男性判事として連邦裁判官に任命されました。
コーエン氏は、仮にゲイルズ判事がトランプにマードックへの訴訟に関して尋問に応じるよう命じた場合、トランプが同じく裁判を持ち込むとは考えていないと述べています。
トランプはマードックの他に、ニュース・コープ(News Corp)、CEOのロバート・トムソン、ジャーナルの出版社であるダウ・ジョーンズ(Dow Jones)及びこの問題となった記事を執筆した二人の記者に対しても訴訟を起こしています。コーエン氏は、トランプがこの訴えを追求し、マードックが折れるだろうと予測しています。
コーエン氏の意見に反して、トランプの元弁護士ラニー・デイビス氏は、ゲイルズがトランプの尋問をスケジュールした後、トランプが訴訟を自発的に撤回する可能性があると考えています。デイビス氏は、トランプが自身の基盤を刺激しないためにも、尋問には応じない方が良いと指摘しています。
トランプは、エプスタインの50歳の誕生日に送った手紙が、連邦の調査官によってレビューされていることが報じられた翌日に、マードックに対して訴訟を起こしました。トランプは手紙の作成を激しく否定しています。
ジャーナルの記事は、トランプがエプスタインや彼の性犯罪に対する調査を受けている中で発表されました。デイビス氏は、名誉毀損訴訟を提起することは、自己を対外的に露呈させるようなものであると比較しています。彼は、トランプがこの訴訟を起こすことで、支持基盤にも批判者にも逆効果を及ぼす結果を招くと警告しています。
ダウ・ジョーンズ社に対しては、訴訟の提起後もトランプとの関係を変える様子は見られないとしています。「我々は、報告の厳密さと正確性に完全な自信を持っており、訴訟に対して全力で防御します」と出版社は述べています。トランプもまた、マードックが尋問を受けることを恐れていることを示唆しています。トランプの広報担当者は、コーエン氏とデイビス氏のコメントについて言及する際、トランプは自身のソーシャルメディアで以下のように投稿しました。「ルパートと彼の『友人たち』がこのケースに関連して、どれだけの時間を費やして尋問や証言に応じることになるか楽しみにしていることでしょう。」



