スイス政府が提案した新しい資本規制により、UBSの株価が急騰しています。UBSは、追加で260億ドルのコモン・エクイティ・ティア1(CET1)資本を保持する必要があるとされています。この規制が完全に適用されるのは2033年まで先延ばしされることが予想されており、法案は早くても2027年に最終決定が下されます。
JPMorganのアナリスト、キアン・アブホッセイン氏は「今回の結果はUBSにとってポジティブだ」と述べており、銀行は2033年までにおよそ120億ドルの利益を生み出し、30億ドルの配当を支払える見込みです。つまり、UBSは「資本ギャップ」を2033年以降に埋めつつ、自社株買いを継続できると分析しています。
また、モーニングスターのシニア株式アナリスト、ヨハン・ショルツ氏は「UBSにとっては最悪の事態ではない」と評価し、これにより同銀行が譲歩を求める余地が生まれる可能性があると指摘しています。UBSは、子会社から余剰資本を上流に送るなどして影響を緩和するための行動を取ることができるともコメントしています。
この新規制は、UBSが2023年に破綻したライバルのクレディ・スイスを買収した後の対策として発表され、システム全体の安定性を維持するための政策とされています。スイス政府は、「新しい資本要件は、AT1債務の保有を約80億ドル減少させるために必要です」とも述べています。これによりUBSの株価は約6%急上昇しました。
UBSの株式が急騰する中、市場関係者の注目が集まっています。金融機関での資本規制遵守の動きと、各国の経済政策にも影響が及ぶ可能性があるため、今後の展開に注意が必要です。



