米国の労働市場は現在、大きな変革の真っただ中にあります。最近、労働省が発表した5月と6月の雇用統計が大幅に下方修正され、合わせて258,000人の就業者数が削減されました。この結果に対し、ドナルド・トランプ大統領は労働統計局(Bureau of Labor Statistics, BLS)のエリカ・マクエンターファー(Erika McEntarfer)局長を「解雇」し、政治的偏見とデータ操作を非難しました。
トランプ大統領のこの決定は、対立する政治勢力の中でも物議を醸しています。上院財政委員会の民主党トップ、ロン・ワイデン(Ron Wyden)は、「トランプは数字をいじろうとしている」と述べています。一方、共和党のラン・ポール(Rand Paul)上院議員は、NBCニュースに対して「数値を変えたり好転させたりすることは、計算する人々を解雇してもできない」と指摘しました。このような動きは、2023年8月に中国政府が青少年の失業率の発表を停止したことを思い起こさせます。
市場もこの動きに敏感に反応し、トランプ大統領の解雇と悲惨な雇用統計を受けて、主要な米国株式指数は数ヶ月ぶりの最悪の一日を迎えました。先週は、S&P 500 とナスダック総合指数が連日で記録的な高値を更新していたこととは対照的です。
今後、新しい関税が2023年8月7日から施行される予定であることから、米国での雇用がさらに鈍化する可能性があるため、経済と市場はさらなる弱体化を迎えるかもしれません。トランプ政治のスタンスがどのように市場に影響を与えるか、注目が集まります。
本日知っておくべき情報として、非農業部門の雇用者数が7月に73,000人増加したことが挙げられますが、これはダウ・ジョーンズの予想の10万人を下回る結果となりました。また、失業率は0.1%上昇し4.2%となり、5月および6月の雇用統計も大幅に下方修正されています。
トランプ大統領はマクエンターファー局長を解雇した後、ソーシャルメディアで彼女が「選挙前に雇用統計を偽った」と非難しました。加えて、株式市場は数ヶ月ぶりの最悪の日を迎え、S&P 500は1.6%の下落を記録、この26日間の中で初めて1%を超える動きを見せました。ドイツの株式市場を含むパネル・ヨーロッパのStoxx 600指数も1.89%下落し、4月以来の大きな影響を受けています。
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)も、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)が率いるこのコングロマリットは、第二四半期の営業利益が前年同時期に比べて4%減少したと報告しており、トランプの関税がビジネスに与える影響を警告しています。
歴史的に、8月はS&P 500にとって悪化する傾向のある月であるため、今後の関税の影響やAI関連の業績が今後の市場にどう影響を与えか注目されます。



