アメリカ合衆国郵政公社(USPS)の理事会は、トランプ政権による買収の試みへの備えを進めており、外部の法律顧問を雇用し、そのような行政命令に対抗するための戦略を模索していると、関係者からの情報によって報じられています。
理事会は、大統領に任命された9名のメンバーで構成されており、最近のハワード・ルトニック(Howard Lutnick)の商務長官就任確認を受け、緊急会議を開催しました。この会議では、USPSの経営陣を解散させ、商務省に統合するという計画がルトニックからトランプ大統領に提案されたことが議論されたとのことです。
ホワイトハウスの関係者によれば、USPSを対象とした行政命令は現在のところ計画されていないとのことですが、政府全体との効率化に関する話し合いが行われていることは認められています。USPSが過去に受けた赤字の影響を考慮すれば、効率化の動きは理解できます。実際、USPSは最近、2006年以来初めて第一四半期に1億4400万ドルの純利益を報告しました。
理事会は、このような行政命令が合衆国憲法で定められた郵政公社の権限を無視するものであるとし、憲法に基づいて設立された機関をトランプ政権が私有化することは、議会の承認なしには成立しないと主張しています。
アメリカ郵便労働者連合のマーク・ダイモンスタインは、買収の試みは郵政公社に対する攻撃であり、サービスの低下や料金の引き上げ、郵便局の閉鎖につながると警告しています。彼は、顧客に対し、郵政公社の独立性と公共性を守るために共に戦うよう呼びかけています。
トランプ政権の下で、USPSの「ユニバーサルサービス義務」が廃止される可能性が懸念されており、それにより特に田舎に住む人々にとって重要な郵便サービスが影響を受ける可能性があります。
さらに、トランプ大統領はエロン・マスクが率いる政府効率化省の設立に伴い、初期段階で多くの連邦プログラムの廃止や政府の雇用削減を進める意向を示しています。USPSを解体しようとする動きは、他の連邦機関の統合を進めるトランプ政権の一部に過ぎないと考えられます。
共和党のルイ・デジョイ(Louis DeJoy)氏は、USPSの局長を辞任する意向を示しており、後任者はトランプ政権との関係が緊張していると伝えられています。特に、2020年の大統領選挙では、郵便投票に対して強い反対意見を持つトランプ大統領との間に溝があったとされています。
トランプ大統領がUSPSをサービスとしてではなく、別の観点から見る傾向があることは、今後の郵便サービスへの影響を考慮する上で重要なファクターとなっています。



