モンブランは2026年春夏レザーコレクションを発表した。アーティスティックディレクターのマルコ・トマセッタ(Marco Tomasetta)氏が主導するこのコレクションは、書くという行為をファッションの自己表現へと昇華させたものだ。カーキ、ベルベットグリーン、フォーブ(Fauve)の3色を基調に、タンジェリンとサフランをアクセントカラーとして取り入れ、落ち着いた色調の上に鮮やかな層を重ねている。

今コレクションの技術的な核心となるのが、コルテッチア(Corteccia)レザーに施されたスフマート(Sfumato)加工だ。スフマートとはルネサンス絵画に由来する技法で、濃色から淡色へと境界を設けずに自然に移行させる色彩処理を指す。このレザーへの応用により、光の当たる角度によって繊細なグラデーションが浮かび上がり、素材そのものが表情を持つ仕上がりとなっている。フォーブはオレンジがかったブラウンの色味で温かみと安定感を演出し、ベルベットグリーンは深みのある緑の層が立体感を強調する。いずれもスフマート処理との相性が考慮された、今季を代表する色調だ。
このグラデーション処理は単一製品にとどまらず、コレクション全体にわたって展開されている。バッグからトラベルアイテムに至るまで同一の素材と色調が一貫して使用されており、シリーズとしての統一感を高めている。モンブランのコレクションとしては、個別のアイコンバッグを前面に押し出すのではなく、素材の質感と配色そのものをデザイン言語として訴求する方向性が明確だ。

今シーズン初登場となるウェアラブルな筆記具アイテムも注目される。ノートブックにインスパイアされたデザインの2種類のレザーケースは、モンブランのミディアムサイズのノートを収納できるほか、外側に筆記具用スペースも備える。また、カーキとサフランのレザーで製作された筆記具ホルダーは、首に掛けたり、ベルトやバッグに装着したりと複数の携帯方法に対応しており、スタイルのアクセントとしても機能する。

コルテッチアレザーに加え、カーキは今季の主軸カラーのひとつとして全アイテムに広く使用されている。ベルベットグリーンやフォーブとのコーディネートでは、同系の色温度を持つアースカラー同士が穏やかに調和し、強いコントラストを避けた落ち着いた全体印象を作り出している。

エクストリーム3.0シリーズは、ブランドのアイコンである幾何学的型押しレザーを継続採用している。型押しパターンが生み出す立体的な触感は耐久性を感じさせ、カーキを重ねることで表面の光と影のコントラストがより際立つ。今季はさらにジャカード4810生地が新たに加わり、布地の質感とレザーの質感が対比を生み出すことで、シリーズ全体の素材構成にさらなる奥行きが加わっている。

