ショパール×ザガート トゥールビヨン「ラボ ワン コンセプト」が、2026年1月に正式発表された。両社による3度目のコラボレーションは2013年以来となり、19本限定という希少性はザガートの創業年(1919年)に由来する。レーシングカーのシャーシ設計思想を腕時計構造へ昇華させた本作は、素材工学・重量管理・ムーブメント設計の三位一体で、高級時計製造の概念そのものを問い直す意欲作だ。

チューブ状シャーシが生む42mmの骨格
42mmケースの構造的核心は、レーシングカーのシャーシに着想を得た「チューブラー・アーキテクチャー」にある。複数のチューブ支持要素が主骨格を形成し、軽量性と高剛性を両立させながら、外部から加わる機械的応力を効果的に分散する設計となっている。これはかつてフォーミュラマシンの車体製造にのみ見られた工学的発想であり、それを42mmの腕時計ケースへ移植した点に、本作の最大の革新性がある。ショパール×ザガート トゥールビヨンは、装飾的表現よりもエンジニアリングの論理を優先したデザイン哲学を体現している。

セラミック化チタン:硬度1000HVの素材工学
ケース、ブリッジ、メインプレートはすべてセラミック化チタン(電気プラズマ酸化処理チタン)で製作されている。この航空宇宙グレードの表面処理によってビッカース硬度は約1000HVに達し、セラミックに匹敵する耐傷性を実現しながら、チタン本来の低密度特性を保持している。アンソラシットグレーの微細ビーズ・サンドブラスト仕上げは工業的な緊張感を醸し出し、極限状態においても退色しない恒久的な外観を約束する。その結果、ストラップ込み43.2g、ケース単体36.5gという、ブランド史上最軽量クラスのチタン製トゥールビヨンが誕生した。ケース厚11.15mm、防水性能5気圧(50m)と、軽量化を徹底しながら基本的な実用スペックも確保している。

レーシングDNAが宿る細部意匠
従来のラグに代わり採用された自動ロック式チューブラーループは、約45度上方へ可動し、ケースが手首の輪郭に沿って自然になじむ構造だ。直径7.4mmのリューズにはショパール クラシック・レーシングのステアリングホイール彫刻が施され、自動車のデファレンシャルギアにインスパイアされたフォルムを持つ。ボックス型サファイアクリスタル風防はケースサイドに対してフラッシュ・マウントされ、両面反射防止コーティングとの相乗効果で視認性を最大化している。

ダッシュボードを模したダイヤル構成
ダイヤルはムーブメントのメインプレートと完全に一体化しており、チャコールグレーのセラミック化チタン表面にはザガートのシグネチャー「Z」モチーフが浮き彫りで刻まれ、ロジウム仕上げのシャンフレが立体的な陰影を生み出している。ショパールとザガート双方のロゴも陽刻・ロジウムメッキで表現されている。透かし構造の時針・分針はレーシングカーのステアリングスポークを模し、6時位置には60秒トゥールビヨンと小秒針、12時位置には燃料計スタイルのパワーリザーブ表示を配置——レーシングダッシュボードの計器レイアウトをそのまま文字盤へ転写した設計思想は、ショパール×ザガート トゥールビヨンの真骨頂といえる。

L.U.C 04.04-L:207パーツの手巻き機械
搭載するキャリバーはL.U.C 04.04-L手巻きムーブメント。207パーツで構成され、直径30.60mm、29石、毎時28,800振動(4Hz)、パワーリザーブ60時間というスペックを持ち、COSC公式クロノメーター認定を取得している。2010年に発表した「エンジン ワン」コンセプトの発展形であり、ブリッジとメインプレートはすべてセラミック化チタン製として軽量化理念を貫く。6時位置の60秒トゥールビヨンにはアルミニウム製キャリッジを採用し、慣性質量をさらに低減している。
耐震性能の強化には、サイレントブロック(エラストマー製ダンパー)を用いた弾性バンパーシステムを採用。4本のレバーアームがムーブメントをケース内部に固定し、外部衝撃がキャリバーの動作へ与える影響を緩和する構造は、自動車のエンジンマウントと同一の原理に基づく。テンプにはVariner®設計を採用し、フィリップス型末端曲線ヒゲゼンマイと組み合わせることで等時性と長期精度安定性を高めている。

2種のストラップと入手方法
ストラップは2種類が用意される。ひとつはマジックテープ式のハイテクファブリック、もうひとつはセラミック化チタン製ピンバックル付きのカーフレザーだ。前者はレーシングスーツの機能素材を想起させ、後者はクラシックな品格を演出する。価格は【要確認】。販売はショパール直営店およびショパール公式サイトのみで取り扱われ、世界19本の限定となっている。



