スパイダーマン新作は、原題「蜘蛛俠:英雄重生」を掲げ、前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の直後から物語が始まる。主人公ピーター・パーカーは奇異博士の呪文で周囲の記憶を失い、かつての生活と決別する設定だ。
本作はデスティン・ダニエル・クレットン監督がメガホンを取り、トム・ホランド、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロンが続投する。さらにマーク・ラファロ、ジョン・バーンサル、セイディ・シンクらも参加し、従来のヒーロー対決に留まらない人物描写を重視する作品である。
見どころ1|ピーターが“全職スパイダーマン”へ
物語は前作から約4年後を描く。ピーターは家族や友人に正体を知られない現実を受け入れ、再び関係を取り戻すことを断念した。
公式では彼を「全職スパイダーマン」と位置付け、日中ほぼすべての時間を街の巡回と治安維持に充てる設定だ。作品は責任と自己のバランスというテーマを改めて問い直す。

トム・ホランドは、孤独な長期生活の中で自分自身が分からなくなる恐怖を語っている。英雄と本当の自分が重なり合うことで生じる心理的負荷が物語の核となる。
同時に身体的な変化も描かれ、心理と身体の両面での「脱皮」が若年の成長物語として描かれる。
見どころ2|監督クレットンが描く“内面の成長”重視
監督のデスティン・ダニエル・クレットンは、本作を単なるスケール拡大ではなく、ピーターの内面掘り下げ作にしたいと語る。
映画はスパイダーとしての変化を象徴的に扱い、心理変化と身体変化、ヒーロー性が相互作用する過程を丁寧に追う。これにより物語はより成熟した色合いを帯びる。

また、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギは、責任を果たす一方で自己を顧みる重要性を本作のメッセージとして挙げている。自己管理の重要性を観客に示す点がこれまでと異なる。
見どころ3|マーク・ラファロ、ジョン・バーンサルら豪華共演
本作のもう一つの注目は、他のマーベルキャラクターがスパイダーマン作品に同時登場する点である。
マーク・ラファロ演じるブルース・バナーは、科学への共鳴でピーターと親しくなるが、失控してサベージ・ハルク化する場面も描かれる。協力関係と衝突が同時に生まれる設定だ。

ジョン・バーンサルのフランク・キャッスルは、暴力に基づく秩序維持を是とする別の英雄像を示す。ピーターの「全員を救う」理念との対比がドラマを深める。
さらにセイディ・シンクが謎の重要人物として出演するが、現在は正体が公開されておらず公開前の大きな焦点となっている。
見どころ4|敵の脅威は物理より精神 信頼が試される
本作にはスコーピオン、ブーメラン、ウルフスパイダー、ハンド(忍者組織)などの既知の敵に加え、原作にない“新たな敵”が登場する。
監督はその敵の能力が他者の意識に入り込み、思考を操ることであると説明する。目に見えない操りは拳による対決よりも危険である。

公式はピーターが唯一意識制御に屈しない人物であり、そのため敵にとっての最重要標的になると述べる。多くの衝突は信頼と選択に起因する。
見どころ5|実景重視の空中アクションと多様な上映体験
撮影は実景比率を大幅に増やし、英国グラスゴーにニューヨークの街並みを再現したセットを構築した。トム・ホランドがより多くの近接アクションを行うことを狙っている。

撮影ではSony VENICEカメラやCyclopsヘルメットカメラを用い、主観視点での飛翔感を強める工夫がなされている。実体のワイヤーや高速撮影と組み合わせ、これまでよりも没入感の高いスパイダーマン体験を目指している。
上映面でもScreenX、4DX、MX4D、D-Box、Dolby Cinemaといった各フォーマット向けに映像と音響を再設計しており、フォーマット別に異なる体験を提示する意欲作である。

