ゴーストはロールス・ロイスがサヴィル・ロウの仕立て技術を称えて発表した限定モデルだ。2026年のグッドウッド・スピードウィークで公開された。

ロールス・ロイスはこのモデルを通じて、Bespokeの高級注文理念と仕立ての美学を車両に落とし込んだ。車名は「Ghost Savile Row」とされ、個人のスタイルと職人技を重視する両者の共通点を示している。
ゴーストの外観はミッドナイトサファイア(Midnight Sapphire)とイングリッシュホワイト(English White)のツートーンを採用した。海軍紺のスーツと白いシャツの組合せを想起させる配色である。
ゴーストの外観デザイン
ボディには従来の手描きコーチラインを残しつつ、銀色のフィーチャーラインを新たに配した。フィーチャーラインはツートーンの境界線ではなく、上半分の意匠に溶け込ませる形で袖口や時計のディテールを想起させる。

足回りは22インチの九本スポーク部分鏡面仕上げホイールを装着する。ホイールセンターキャップはボディ同色とし、外観の統一感を高めている。
内装、刺繍と素材の組合せ
キャビンはネイビーブルーとアークティックホワイトの二色レザーを基調とした配色だ。オープンポアのホワイトウッドとブラックウッドの組合せで層のある視覚効果を作り出している。

特筆点は後席中央肘掛の裏に収められた大型の刺繍作品である。刺繍はグッドウッドにあるロールス・ロイス本拠地の中庭の樹木配置と光の変化を着想源としている。
この刺繍は同社までで最も複雑な単体刺繍とされる。職人が新しい刺繍技術を開発し、立体的で織物に近い質感を再現した。

刺繍は7色で構成され、作業時間は約9時間だったという。合計25万針、使用した刺繍糸の長さは1,830メートルに及び、細部まで精緻に仕上げられている。
座席設計と仕立ての再現
シートはネイビーブルーのレザーにSelbyグレーのランステッチ縦縫いを採用した。これはピンストライプの細縞スーツに触発されたデザインで、ブランドとして初めて座席に同種の縫製を用いた。

各シート中央の刺繍は1万6,600針を超える。双方向針法により布の経緯が交差するような織り感を表現している。
SelbyグレーのパイピングとダブルRの刺繍が細部の階層を高める。アークティックホワイトのインレイはスーツの胸ポケットに折りたたまれた白いポケットチーフを連想させる仕立てだ。
細部の再設計と発表の場

細部では、アークティックホワイトで覆ったボリュームノブやレザー製の方向指示レバーを新たに設けた。ネイビーブルーの空調ノブやドアのイルミネーションステップにも刺繍と同柄を取り入れている。
車内に用意されたBespoke仕様の雨傘はネイビーブルーの天面、Selbyグレーの縁取り、アークティックホワイトの柄を組み合わせた。全体のデザインテーマを貫く小物として仕上げられている。
ゴースト サヴィル・ロウは2026年のグッドウッド・スピードウィークで正式に披露された。ロールス・ロイスは今回の一台で、自動車のBespokeと高級仕立ての技術的共通項を強調している。

