パッケージデザインの祭典「日本パッケージデザイン大賞2027」の結果が発表された。約1,000点の応募から大賞、金賞、銀賞、銅賞、特別賞が選ばれた。
本稿では、とくに形状だけでなく、使用習慣や素材、開封体験に着目した注目の大賞・金賞8点を紹介する。パッケージデザインの可能性がどこまで広がるかを示す事例だ。
受賞概要
本賞は2年に一度開催される。今回は応募約1,000点の中から各賞が選出された。審査では利便性と視覚表現の両立が評価された。
主な受賞作(パッケージデザイン)
以下に大賞1点と金賞7点を順に解説する。各項目は設計意図と特徴を短くまとめた。
01 大賞|大丸松坂屋百貨店 ショッピングバッグ
大賞は大丸松坂屋百貨店のショッピングバッグであった。デザイナーは三澤遙(みさわ はるか)である。
一見シンプルな紙袋だが、大丸と松坂屋という二つの社号の歴史を形と色で再構成している。円形と緑が大丸を、方形と青が松坂屋をそれぞれ示し、幾何学的要素で新しい共通アイデンティティをつくり出した。

02 金賞|Alchemist / Non-Alchemist(飲料)
同一原料からアルコール飲料とノンアルコール飲料をつくるという発想をパッケージで示した。デザインはKAAKA(デザインスタジオ)が担当した。
伝統的なワインラベルを参照しつつ、ラベルの幅と比率を調整している。鈷藍色の文字とボトル首の封シールが液色と対比をなし、アルコール有無で統一したブランドイメージを保つ工夫が光る。

03 金賞|IPSA ME n(スキンケア容器)
IPSAの「ME n」シリーズは容器の変形をデザインに取り込んだ。使用に伴うへこみを欠点とせず、個人差を残す表現にした。
容器は使うごとに形が変わる設計で、最終的な見た目が人それぞれになる。使用者が完成に参加するパッケージという考え方だ。

04 金賞|WOOD BASED WIPES(ベビー用ウェットワイプ)
山口崇多(やまぐち たかし)によるデザインは、ベビー用の湿式ワイプから子ども向けイラストを排した。家庭の日常に置いて違和感が出ないことを重視している。
「99%純水」などの大きな訴求を優先する代わりに、成分表示を蓋の内側に配して毎回確認できる構成とした点が特に評価された。残り1%の成分に注意を促す意図が明確だ。

05 金賞|Biore Kids Stamp UV(子ども用日焼け止め)
AEONと花王(Kao)が共同で展開したBiore Kids Stamp UVは、日焼け止めの塗布行為を「スタンプ」に変える製品である。子どもが自ら手を伸ばすことを目的にしている。
容器を肌に押し当てると猫の肉球形状でクリームが出るという仕組みだ。使い方そのものをパッケージで変えた事例として評価された。

06 金賞|HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE ANTIPASTO SCARF(スカーフ包装)
三澤遙(みさわ はるか)が手がけたイッセイ ミヤケの「ANTIPASTO SCARF」用パッケージは、イタリアの前菜アンティパストを着想源とする。三宅一生の「一枚の布」という思想と呼応させた設計だ。
構造は三枚の帯状紙を輪にして組み合わせるだけで、中央にスカーフを包む。装飾を廃しつつ高い識別性を持つ円形フォルムを実現している。

07 金賞|SEVEN SEVENTHS 2WAY GIFT PACKAGE(ギフト箱)
SEVEN SEVENTHSの2WAY GIFT PACKAGEは、引越し作業での梱包発想をギフト包装に転用した。HolBalloonが設計した。
同一の段ボール箱が中身に応じて二通りの形に変化する。業種固有の作業プロセスをそのまま使用方法に落とし込んだ点がユニークだ。

08 金賞|YAMAHA Entry-Level Wind Instrument(入門管楽器の輸送箱)
YAMAHAは2025年に一部入門管楽器の段ボールを16年ぶりに刷新した。環境負荷低減を意識した印刷設計と表現方法が特徴である。
従来のように正面に製品写真を大きく載せず、四面に分散して楽器のイメージを配置した。開封まで内側の期待を残す演出を狙ったものだ。

今回の受賞作は、パッケージデザインが単なる外装ではなく、使用体験や情報伝達の設計になり得ることを示している。今後も素材や開封行為を起点とした表現が増えそうだ。
以上が大賞と金賞の主要8点である。各案件は店舗販売やECでの見え方にも影響を与える可能性が高い。

