SpaceX 上場の財務状況は、2025年に収入約3.00兆円(原文187億米ドル)、総赤字約7,850億円(原文49億米ドル)である。

SpaceX 上場の収支内訳
2025年のグループ全体収入は約3.00兆円(原文187億米ドル)だったが、営業・投資の結果、通期で約7,850億円の赤字を計上した。
赤字の主因は、子会社のxAIによる巨額の損失とスターシップ(Starship)の開発費である。
Starlinkが唯一の黒字事業
グループで実際に利益を出しているのは、低軌道衛星ネットワークのStarlinkだ。
2025年、Starlinkの売上は約1.83兆円(原文114億米ドル)、営業利益は約7,050億円(原文44億米ドル)で、グループ内で唯一の黒字部門である。
Starlinkは160以上の市場をカバーし、商業機1,400機超に機上インターネットを提供している。長距離の飛行機や船舶、遠隔地の接続で既に利用が広がっている。

衛星直結の携帯サービスの展望
SpaceXは「Starlink Mobile」を展開し、標準的なスマートフォンを衛星に直接接続するサービスを進めている。
現在は米国でT-Mobileとの商業サービスが始まり、カナダや日本などへ順次展開しているという。
2025年にはEchoStarの中周波帯周波数帯ライセンスを170億米ドルで取得し、完全な独立運用の法的基盤を整えた。取得額は約2.72兆円(原文170億米ドル)である。
SpaceXの公表するロードマップでは、アップグレード後の直結サービスで目標下り速度150Mbpsを掲げ、2027年末に試験開始、業界は2028年を普及の分岐点と見ている。
リサーチ機関Omdiaは、2030年までに衛星直結スマートフォンの利用者が4億人を超えると予測している。
AI算力のレンタル事業で大型契約
SpaceXは招股書で潜在市場を28.5兆米ドルと試算し、その大半をAI関連市場に割り当てている。
この方向性は現実の収益機会へと近づいている。上場直前に発表された大型の算力レンタル契約がその証左だ。
5月、Anthropicは毎月12.5億米ドルを支払い、Colossus 1データセンターの算力を全面的にレンタルすると発表した。月額は約2,003億円、契約総額は約7.21兆円(原文450億米ドル)で、契約期間は2029年5月までである。
Anthropicは契約で、将来的に「数千メガワット級の軌道AI算力」への拡大を検討すると明記している。

6月5日、Googleは毎月9.2億米ドルを支払い約11万基のGPUをレンタルすると発表した。月額は約1,474億円、契約総額は約4.81兆円(原文300億米ドル)で、期間は2029年までとされる。
両社の契約を合わせると月額約3,478億円、3年合計で約12.02兆円相当となり、今回のIPOで目標とする資金調達額に匹敵する規模である。
「軌道AI」は長期の賭け
現時点でGoogleやAnthropicと結んだ契約は地上データセンターの算力レンタルである。
SpaceXは招股書で、軌道上のデータセンターは技術的課題が多く、商用化までに長い時間を要する可能性があると明記している。
それでもこれらの契約は、「算力不足」が現実の需要を生み、業界トップがまずSpaceXに目を向けたことを示している。

イーロン・マスクとリスク要因
SpaceX 上場における不確実性の一つは、イーロン・マスクが複数の企業を率いる点である。
マスクが関与する他事業の問題が、投資家の評価やグループ全体の動向に影響を与える可能性がある。
また、衛星周波数や規制を巡る既存の通信事業者との競合、そして技術的課題は今後の注視点である。
投資判断の際は、Starlinkという確立した黒字事業と、長期的だが潜在性の高いAI/軌道事業という両面を見比べる必要がある。



