公共空間の再評価が進む中、バルセロナ現代文化センター(CCCB、Centre de Cultura Contempor al de Barcelona)は2026年の欧州都市公共空間賞の受賞作を10月15日に発表する。選ばれた5件は38カ国、381件の応募から選出された最終候補で、規模は205平方メートルから48キロに及ぶ。
いずれのプロジェクトも共通するのは、自動車のために占有されていた空間を取り戻した点である。
公共空間を車から取り戻した5プロジェクト
- Zuidpark(アントワープ):旧埠頭上の空地が都市の「緑肺」へ
- Plaça de les Glòries Catalanes(バルセロナ):交通結節点を地上公園と広場へ転換
- Rotunda Baths(ログローニョ):ロータリーを臨時の公共浴場に変換
- Leça Green Corridor(ポルトガル):全長48キロの緑の回廊
- Peace Park(ヴィチェンツァ):旧空港を65ヘクタールの景観公園へ
この賞は2000年にCCCBが創設し、隔年で実施されている。都市の公共空間の創造、改造、復元を表彰するもので、設計チームだけでなく、プロジェクトを推進した公共機関にも授与されるのが特徴である。
審査はデザインの優劣だけでなく、公共性や地域への波及効果を重視する。今年は建築家のEva Pratsが審査長を務め、ここ25年で計2,800件の応募があったという。
Zuidpark(アントワープ)── 埠頭空地を緑地化
アントワープのZuidparkは、旧埠頭上のかつて自動車が占めていた空地を都市の「緑肺」に転換したプロジェクトである。設計は生物多様性と水循環を考慮し、地域住民に休憩と交流の場を提供する。


Plaça de les Glòries Catalanes(バルセロナ)── 交通結節点の地上回復
バルセロナのPlaça de les Glòries Catalanesは、大規模な交通ハブの車両を地下に移すことで、地上を公園と広場に戻した事例である。地域の気候避難所としての機能も備え、街区の生活環境を変えた。


Rotunda Baths(ログローニョ)── 小さな試みが示す示範性
最も注目を集めたのはスペイン、ログローニョのRotunda Bathsである。建築家Leopold Banchiniは205平方メートルのロータリーに未加工の木板で臨時の公共浴場を設けた。
既存の噴水は浅い水盤に改修され、鋳鉄の植木鉢は蒸気室の火床として再利用された。熱波の際には避難所として機能する設計であるが、設置は2025年6月のConcéntrico建築祭期間中の1週間だけだった。


Leça Green Corridor(ポルトガル)── 長距離の緑の回廊
規模で最も大きいのがポルトガルのLeça Green Corridorである。全長48キロにわたり4つの自治体を結び、22ヘクタールの線形公共空間を新設した。
この回廊は、水のレジリエンスと持続可能な移動手段を組み合わせた景観基盤を目指している。小さな205平方メートルの事例から48キロの事例まで、審査委員会が伝えたかったのは公共空間の規模は問いにならないという点である。


Peace Park(ヴィチェンツァ)── 空港跡地の大規模転換
イタリア、ヴィチェンツァのPeace Parkは旧空港を直接65ヘクタールの景観公園へと変えた。5つの最終候補の中で、最も徹底した転換の例である。


地域傾向と示唆──南欧の優位性と香港への示唆
今回の25件のセミファイナリストのうち21件が景観系のプロジェクトに分類される。自然に軸足を置く案や既存インフラの再利用が、応募の事実上の要件になっている。
また南欧と西欧の案件が選ばれた点も特徴的である。スペインが2件、ポルトガルとイタリアが各1件、ベルギーが1件で、北欧からの選出はなかった。猛暑や熱波への即応性が南欧の案件を後押しした側面がある。
香港にとって本リストが示す最大の示唆は、勝敗ではなく発想法である。香港の公共空間は長年にわたり道路や駐車に優先権を与えられてきたが、欧州の事例は既存の交通施設を用途転換するだけで公園や避難所になり得ることを示している。
Rotunda Bathsのように、短期間のインスタレーションが示範効果を持つと評価される点も重要である。審査は完成形だけでなく、発想とその社会的実践性を重視している。
受賞作は10月15日に発表される。入選チームは10月14日にCCCBで審査員に向けて公開プレゼンテーションを行う予定である。詳細はCCCBのウェブサイトで確認できる。
(執筆:翻訳・編集)

